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宮城蔵王 後烏帽子岳 ~植物の生きる力を慕う~

2021/08/12

宮城蔵王のスキー場として有名な”みやぎ蔵王えぼしリゾート”

白銀の世界から一転、夏のグリーンシーズンには、複数のトレッキングコースを人々が楽しみます。

みやぎ蔵王えぼしリゾート コースマップ

今年は夏営業として、7月と8月の連休期間限定で仙台平野が一望できる自慢の展望台まで登るロープウェーと更に山頂を目指す登山口近くまで運んでくれるリフトを運行。

同時に手ぶらで楽しめるBBQや流しそうめんなどの催し物もやっているとのこと。

今日は、『後烏帽子岳(うしろえぼしだけ)』山頂を目指します!

まず、ロープウェー乗り場のある大きな建物へ。

この日は生憎の曇天、今にも泣きだしそうな空模様で人影はまばら・・・。

貸し切り状態のロープウェーに乗り込んで出発。


10分間の空中移動。

換気のために開けられた小窓からひんやりとした空気が流れ込んできます。


展望台がある標高1000メートル地点。


まだ山頂は見えず、ここからはリフト(かもしかリフト)に乗り換えます。


この付近から針葉樹のオオシラビソ(アオモリトドマツ)の姿を目にすることができます。

葉が密集していて、飾り付けに使うモールの様にふっくらと柔らかそうな新葉が目に鮮やか!

とはいえ・・・ここより標高が300メートルほど高い地域では、近年、害虫の食害で立ち枯れてしまい深刻な問題になっております。

オオシラビソ(アオモリトドマツ)に雪や氷が付着した状態の「蔵王の樹氷(別名:アイスモンスター)」

蔵王の観光資源、冬の風物詩として人気の樹氷のある風景を残すために、2年前から再生を目指す取り組みが始まったとのこと。


リフトを降りると自生の植物やコケ類、落ち葉などでふっかふかの地面が露わになっており、思わず飛び跳ねてしまいます!


さて、後烏帽子岳山頂へ続く登山口に到着。

ここまでリフトで運んでもらえたので、元気いっぱい山頂まで挑みます!


拓けたゲレンデから、ギュッと狭く続く道。すでに笹が繁る高山の植生地帯。


急登が続く中、目を落とすと半透明の不思議な植物が・・・

幽霊茸(ゆうれいたけ※キノコではありません)というピッタリな異名を持つ

「ギンリョウソウ(銀竜草・イチヤクソウ科)」

全く葉緑素を持たず光合成をしない植物で、地中の菌類に寄生して栄養を得ており、さらに、その菌類は樹木の根と共生している・・・

つまり樹木が光合成で作り出した有機物を菌類経由で得ているという居候植物。

このような無葉緑植物は寄生するという「三者共生」の生き方を選んだわけですね。


下の写真、「ハクサンシャクナゲ (白山石楠花・ツツジ科)」

出会った地点はそろそろ森林限界のエリア。

針葉樹には属さないハクサンシャクナゲは、どのように高山の厳しい冬を過ごしているかというと・・・

晩秋から冬期間に気温が低くなると葉が筒状に丸まっていき、露出面積を最小にして厳冬期に備えるそう。

筒状になることで、葉の織り込まれている部分は、乾燥からも強光からも守られる。

そして春を迎え土壌凍結が融け、吸水ができるようになると葉が開いて光合成を再開するというメカニズム。

植物の生きる力ってすごいです!


さて、そろそろ山頂が近くなってきました。


『後烏帽子岳山頂 1681メートル』

到着した時は、流れのはやい雲に覆われていて真っ白。

そんな中、おびただしい数のトンボが縦横無尽に飛んでいます。(おかげで蚊が少ない)


平地では連日、猛暑が続いており、身体がバテ気味だったのか、少し放心状態でいたところ・・・

突如、雲の切れ間からお釜やエコーラインのある刈田岳の方向が現れました!

束の間、直射日光を浴びましたが、これがとんでもなくジリジリと焼けるような暑さで身を縮めてしまいました。


直射日光に恨めしそうな視線を送ったからなのか・・・

その後、いそいそと雲隠れした山頂部には、リフトを使わずに登ってきた高校生と思しき一団も合流。

賑やかな昼食時間を過ごし、いよいよ雲行きが怪しくなってきたので一斉に下山体制に入りました。

帰りはリフトが使えないので、ロープウェー乗り場まで徒歩で下山。

スキー場、しかも上級コースの急斜面に苦戦しながら、2メートル先が見通せないほどの濃い霧の中をひたすら下ります。


ゴンドラに乗り込むと本格的な雨模様に。


拠点のロッジに戻ると霧が立ち込める広場に数人の若者が一組のみという、コロナ禍、2年目の夏です。

 

話は戻りますが、オオシラビソ(アオモリトドマツ)は、2013年から相次いで虫の食害被害に遭い、水分を上昇させる力を失った結果、本来、自らヤニを出すことで防虫する機能が働かずに枯死状態に陥ったという。

美しい樹氷の再生に向けて、始まったばかりですが・・・

蔵王国定公園の特別保護地区にあるため人工的な手法を施すことが難しいそうで、国内で初めて天然林を使った自生苗の試験移植に着手。

つまり遺伝子が混乱しないように、近くの地域から自生苗の採取を行い、移植を繰り返していくわけですが、そもそも厳しい環境下のため、10年越えの苗でも約20cmという小さな自生苗。

樹氷が林立するあの景色となるまでの地道な努力は相当の年月を要するそうです。

地球規模の気温上昇や異常気象などの影響で生態系は変わり、年月をかけて生き抜くための進化を遂げた植物が消えていき、動物は昔から住む地域を離れ、時には人間と衝突してしまうことが多くなりました。

地球上で自然と生き物すべては、あるべき場所にであるべき姿で。

まさに今、立ち止まって考える時なのでしょうか。

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