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株式会社山大 ~300年、継承10代の伊達な矜持~

2021/12/20

東北ボーリングさんの新社屋に使用する原木の伐採見学が終了。

瑞々しい杉の良い香りを身にまといながら・・・

全国屈指のヨシ原が広がる北上川を沿って、石巻市潮見へと移動します。

追波湾へ注ぐ北上川の汽水域は、良質のヤマトシジミ(べっ甲色であることから”ベッコウシジミ”との別名も)の漁場。

漁の船が浮かび、トンビもゆったり飛び交う長閑な眺めです。


さて、海に近い石巻らしい雰囲気漂う工場地帯へ。

次の目的地である株式会社山大さんに到着。

株式会社山大



幅の広い道路の向かい側にも山大さんの工場がありました。

東北ボーリングさんの新社屋建設で使用される、先ほど伐採した原木はここで製材されるとのこと。

これほど、一つのことに関する一連の流れ(関わり)を見せて頂けるのは、本当に貴重な機会です!

そして、山大さんは、「県産杉を主体とする高品質な製品を供給する仕組みを構築したこと」が高く評価され、2018年には 「第7回富県宮城グランプリ」 を受賞されておられます。


昼食会場には、昔お使いになられたと思われる大きなノコギリ(とてもじゃないけど持ち上げられないし、挽くこともできなさそうな大きさ)

そして、種類の多さに驚く程の木材の見本が展示してありました。

皆さん、仕事柄、標本とかお好きなんですね!?早速、座り込んで見入る方が多数。


それにしても、広い敷地です!

現在、各工場あわせて、6万平米を所有されているそうです。

あまりにも広大すぎて、遠近感がおかしくなったのか、前方にある丸太は相当な大きさなのに、なかなか近づいてきません。


山大さんは“地産地消(商)”にこだわり、扱う原木は県内産が6割を占めるそうです。


少し遠めですが、切り口の部分に数字が書いてあります。

丸太は正円形ではないので、一番小さい口径部で径級が決まるそうで、自動的にサイズを割り出す機械があるとのこと。


こちらは皮を剥く装置。

皮むきと選別を同時におこなうそうで、果物でいうところの選果機の役割も果たしてくれるのですね。


”皮むき”の作業で必ず排出されるのは、木の皮の部分。

山大さんでは、その皮を廃棄せず木材を乾燥させるためのボイラー設備の燃料として使用し、20機を超える設備の稼働を賄うため、このボイラーだけは24時間稼働させているそうです。

これは、未利用資源の活用と燃料代が製品の価格に反映させないための工夫。

 

昼食時に高橋さんが教えて下さいました。

「角材として切り出す以外の部分、根っこや枝打ちした枝もすべて回収して燃料用チップに再利用をしたり、森林からの恵みは余すところがない。」

「森林は、3~4年の苗を植林した後は、20年間は年一回の下刈りを行って、そこからさらに40年成長を見守り・・・樹齢が60~80年になると角材が取れる太さに育つ。その後、皆伐を行い、また、植林をする、という循環が可能なもの。」

先ほどの伐採地は、来春には皆伐されて、また、植林される予定とのこと。

人と自然が織りなす、持続可能な循環型のモデルが、ここにまた一つありました!


径級の揃った丸太ごとに保管しており、その日、その日の製材作業を明確にすることで、作業への集中と効率を上げておられるとのこと。




震災以降、衝撃を吸収して分散するしなやかさ、調湿性や復元性において木造建築の秀逸さが注目されています。

山大さんでは、同一規格の製品をつくるラインの他に、幅や長さの個別オーダーに応じるための特注品用ラインもお持ちです。

木造の建物の需要が高まっていくと、施主の個性や愛着のある木を使いたいといったリクエストにも対応が可能です。


県内、東北地方に複数のお取引先がおられますが、常に”どこから仕入れたものなのか”の管理とレスポンスを徹底することで、品質の保持に努めているそうです。

林業に携わる業界全体の信用の向上、製品を世に送り出す責任ということなのですね。


平成20年、県内工務店50社と「宮城の伊達な杉の家を創る会」を設立。

こうした地元産物のブランディングは、高品質である証と流通販売の仕組みの構築により、消費者に対しても分かりやすい基準になります。


上の写真は前回、お邪魔した別の工場の様子です。

今では、まるで体育館のような広い建物も木造で立てることが可能なんですね!!

天井が高いので、背の高い機器もすっぽり余裕で入ります。

無機質な印象になりがちな倉庫や工場も、木の持つ柔らかい質感や艶、自然な明るさもそのままに大活躍しそう。


こんなに大きな板を加工できる外国製の製材機械も見せていただきました。


設計データをインプットすれば、このような複雑な加工も見る見る間に出来てしまいます!

この機械を操作する方に

「こんなに色々なことができると、どこまで出来るか試したくなりませんか?」

お尋ねしたところ・・・


「そうなんですよ!」と、一旦、その場を離れ・・・再び現れた時に手にしていたのが、上の2点。

思わず破顔!!

まるまる切り出したビージョッキ!

隣のペン立ても側面が湾曲しているチューリップ型という凝った形状。

職人さん特有の”技への飽くなき探求心”には脱帽です。

林業重機の劇的な発展、森の恵みをフルに生かす取り組み、職人さんのプライド・・・

高橋さんがおっしゃっていた「森を育てることは海も共に育てる」

林業は、ぐるりと海に囲まれ、国土のほとんどを森林が占める日本の重要な産業の一つであることが良く分かる一日となりました。

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