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危険の感受性

2019/06/13

最近、貨物運送事業者向けの講習会を受けた。

平日の朝~夕、3日間に及ぶ講習にも関わらず、会場は200名近くの受講者で埋まっていた。

主に安全規程関係の講義が続く中、実際に多数のドライバーを抱えている事業者の方が講師となり、お話いただく時間があった。

最近は特に「安全運転をして下さい」というより「事故に遭わない運転をお願いします」と言う方がしっくりくる、と。

昨今、運送事業者は、

“ヒューマンエラー(人間が起因する機械や装置・システムの誤作動)による事故の防止と対策”

を全力で取り組むことを義務付けられている。

この“ヒューマンエラーによる事故の防止と対策”について、国を挙げて重視するに至った経緯として、2005年のJR福知山線脱線事故が大きなきっかけになったという。

この痛ましい大事故は、直接的には運転手の誤操作が引き起こしたものではあるが、その運転手を取り巻く環境において、事故の発生を誘発する複合的な要因があった、ということが浮き彫りになった。

そして、事故発生後、所属する組織の初動行為(連絡体制、情報の精査と共有などの対応)が非常に問題視された一件でもある。

 

2006年から“安全管理を現場まかせにしない”体制を重視していくという流れに大きく舵が切られた。

事業者がトップから現場まで、漏れなく一丸となって、安全意識を浸透させ、安全風土を作り上げていきましょう、ということ。

所属する組織が利益ばかりを追い求めるような経営をすれば、過重労働を強いるような風土を作り上げてしまう。

ハンドルを握る人が心的な重圧感などで、心身共に健康な状態で従事できないような環境はあってはならない、という考え方であると理解した。

 

では、どんな手法が有効なのか。

有識者らから提言されたのが「安全マネジメントシステム」の導入。

各事業者が自ら「計画⇒実施⇒振り返り(効果の評価)⇒改善」という、いわゆるPDCAサイクルの内容を検討し具体化して、継続して繰り返していくことで安全管理の意識の向上につなげよう、という呼びかけが行われた。

取組む事項には、

事業用車両の点検・整備の他に
きちんと”人の管理”も行うこと、を明確に盛り込まれている。

また、同じ講師から

「現場において“事故を繰り返すドライバー”と、“事故を起こさないドライバー”というものが確実に存在する。」

というお話もあった。

曰く、そこを分けているものは“危険の感受性”である、と。

人によって「危ない!」と感じる場面や状況、自分の中で警鐘が鳴るレベルが、それぞれに違うという。

“危険の感受性”とは、言い換えると”危険予測”である。

目や耳や記憶した事象から正しい予測を行うための、認知情報をどれだけ掴めているか、ということ。

人が巻き起こす事故は、実は自分が置かれている状況を認知する段階で起こるミスが大半を占めており、その時点ですでに事故は起こっているのだという。

「事故を起こす人」と「起こさない人」の差は、どれだけ自分の性格や思考上の癖を把握しているか、そして、短所を真摯に受け止めて、日々留意しているのか、に表れてくるのだそう。

それらを客観的に見ることができるのが、「適正診断(適齢診断)」である、と話は続く。

誰でも短所を指摘されて気持ちがいいわけではないが、診断結果では、相当、痛いところを突かれるもよう。

そして、最も大事なことは、「適正診断の結果」は、ハンドルを握る人の“良し悪し”の問題ではないということ。

人を管理する側の事業者において特に指導を行う立場の方は、そこを肝に銘じて、良好なコミュニケーションを心がけながら、ドライバーと一緒に改善の方法を探っていきましょう、という講師の言葉で、この講義は締めくくられた。

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