AOBA青葉環境保全より良い環境をめざす

NEWS    〈 青葉環境保全 〉からお知らせ

たまきさんサロン講座『猛禽類の生態を学ぶ ~自然環境調査というお仕事~』

2022/02/07

先日、せんだい環境学習館「たまきさんサロン」で開催されたサロン講座にお邪魔して参りました。

新型コロナ感染拡大防止対策として、建物に入るとすぐにスタッフが待機されており、非接触式の検温と手指の消毒の確認、検温結果は付箋で渡され、サロンでの受付の際に申告します。

図書スペースなどの一般利用者と講座受講者の出入り口は分けられており、基本対策は念入りに実施、受講者の方の安全面に細心の注意を払われていることをひしひしと感じました。

さて!今回のサロン講座は「猛禽類の生態を学ぶ ~自然環境調査というお仕事~」

配布資料は講座資料以外に生物関係がたくさん!!


講師は 株式会社地域環境計画(通称:ちいかん)東北支社 嘉藤慎譲(かとう みつよし)さんです。

長年、鳥類(おもに猛禽類)の調査のお仕事をされています。


講座の内容は

◆自然環境調査という仕事、調査員の仕事内容 ⇒ 自然環境調査と社会の関わり

私も以前は思っていた「自然環境調査員」とは??(名称からは何となく想像できるけど・・・)

嘉藤さんは仕事内容のイメージが描けるように年単位、日単位のスケジュールを示して、私達の素朴な疑問(口には出してないけど)に答えるように説明して下さいます。

そして、その仕事が”私たちの社会生活”に、どのように関係しているのかも。

◆猛禽類とは?何故、調査対象になるのか? ⇒ レッドデータリスト(ブック)、”指標種”や”環境種”

レッドデータリストを基にして自然環境や生き物の保全活動を行うことにより、実際に絶滅の危機に瀕した種も、ある程度の生息数に戻ることもあります。

レッドデータリスト(ブック)は、自然環境の変化を知る上で、大変重要な情報であることが分かります。

◆巣のモニタリング調査(カメラ調査)猛禽類の生態 ~北海道編・宮城県編~

(自然界では、生まれた卵の数がそのまま成鳥になることはほとんどないため)

巣のモニタリング調査の画像では、過酷で残酷な場面も目の当たりにしなくてはなりません・・・それが現実。

嘉藤さんは「自然動物はよく死ぬので・・・」と前置きをして

「苦手な方はこのスライド(はじめに 悲しい画像がながれますというスライド)を目安に画面から目をそらして下さい」・・・そんな配慮もありました。


興味深かった話題としては

海辺に生息する猛禽類と北海道の大規模な森林地帯に生息する猛禽類の”巣”の違い。

紹介された4つの巣は、並べてみるとあまりにも違っていて、会場からも驚きの声があがりました。

沿岸部に生息する「ミサゴ」は流木などを多用しており、河川や海辺で捕獲する魚が主食なので手?(足?)の作りが大きい。。。故に巣の姿形はワイルド(大雑把)な印象。

対して、嘉藤さんが絶賛した”巣”は、森林地帯に生息するの「ハイタカ」のもので、カラマツなど、細やかで絡みやすい枝なので、出来栄えが繊細で美しい。

 

また、自然環境調査員に関する「よくある質問(ちいかん調べ)」も面白かった!

例えば「調査の時はキャンプ(テント泊)?」故に「アウトドアに精通している?」などは、私個人も思い込んでいましたが、答えは「否」。

もちろん、調査地によりますが・・・

調査地点まで片道2時間の山登りが必要!という場合は、さすがに効率を考えてテント泊をしたそうですが、二十数年におよぶ調査歴の中で、2回くらい。

「普通にビジネスホテルに帰りますよ。仕事が終わった後は、お酒も飲んだりしています。」・・・会場から笑い声が。


さて、嘉藤さんを語る上で、忘れてはならないキーワードは「木登り」

(日常会話においても「そろそろ木登りが忙しいので」と聞く度に、面白くて耐え切れず笑ってしまいます)

木登りはモニタリングカメラの設置に、欠かせない技術です。

猛禽類は20メートルは優に超す高い木に営巣するもの、ミサゴなど種によっては樹冠に巣づくりをします。

上の写真、どこに嘉藤さんが写っているか、お分かりになりますか?

日本の伝統的な木登り道具は「ぶり縄」と呼ばれるらしく

嘉藤さんは、北海道”ぶり縄”研究会の代表でもあるのですが、ホームページに載っていた”巨木上等”というステッカーが凄まじくカッコいい!(アイキャッチ画像に使用)

 

自己紹介で嘉藤さんの経歴を聞くと、出身地は比較的、都会の方で、水が張られた田んぼを”池”だと思っていたくらいの自然とは無関係な幼少期。

その後、鳥は好きになったけど、自転車の方に俄然興味が向いたり

そして、畜産大学に進学をして、先輩から自然環境調査の仕事を紹介されるまで、この仕事を知らなかった・・・等

意外な紆余曲折があったことなども楽しく拝聴しました。

 

環境問題への関心は高まり、SDGs普及啓発の流れもあり、あらゆる業種の企業が自社の事業による環境への影響評価、環境保全の取り組みをはじめた昨今。

それにともなって、自然環境調査、影響評価、コンサルティングの仕事への需要も高まっていると聞きました。

 

講座の最後のスライドには「自然環境調査とは、生ものを調べて、分かりやすく伝える仕事」という総括がありました。

また、その中に、”自然相手は上手くいかないことばかり(は楽しい)”との一文が。

これに共感できる方、是非、自然環境調査員の世界をのぞいてみませんか?

 

(AOBAのブログ記事では、2021年10月~12月の期間に自然環境調査について掲載しております。調査体験イベント、そして、調査員の方々の特集では、仕事をするために、どんな勉強をされたのか、どんな資格が生かせるのか等のインタビューがありますので、参考にご覧下さい)

PAGE TOP