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東北大学 駒井武先生の最終講義

2022/02/21

東北大学大学院環境科学研究科で今年度、退官を迎える教授の最終講義にお邪魔して参りました。

最終講義を行うのは、同研究科の駒井武教授。

東北大学大学院環境科学研究科 先進社会環境学専攻 駒井・渡邉研究室

駒井先生は、これまで企画したセミナーの講師を快く受けて頂いたり、色々とご相談をさせて頂いた際には、いつもニコニコと助言を下さる・・・

そう、存在そのものが心強い!先生です。


コロナ禍において、大学の教育現場も振り回され、対応に試行錯誤したこの2年間。

講義やセミナーのオンライン開催もすっかり定着しつつありますが、そもそも人の前で話すプロである大学の先生。

収容人数200席近い大きな講義室に5分の1の入場制限を行って、対面開催の実施に踏み切って頂けたのは、個人的にとても嬉しかったです。


講義前に集まった出席者の方とご挨拶を交わされる駒井先生。

全国に活躍中の教え子がいらっしゃるので、オンライン出席者は、まさに北海道から九州まで・・・皆さん、本当は会場に駆けつけたかったことでしょう。


講義のテーマは「研究・教育を振り返って~寛容と幸せな社会のために~」

最終講義は先生方も自分のお好きなテーマ、ざっくばらんな内容でお話する方が多いと聞きましたが

冒頭では駒井先生が溺愛されているお孫さん二人の「こんにちはーーーー(長~い)」という元気なご挨拶動画から始まりました。

埼玉県のご出身、東北大で学業を修められて、工業技術院、そして、産業技術総合研究所では要職をお勤めになり、その後、環境科学研究科からの熱心な要請に応じる形で東北大学へ。

大学時代は地学ゼミ、岩石鉱物と特に鍾乳洞が大好きで、日本の主要な洞窟は全制覇。また、趣味の旅行の目的は主にアンモナイトに関すること。

ご経歴の中で転機となったのが、20年前の米国ロスアラモス国立研究所(カリフォルニア大学)客員研究員時代で、地下水などの地圏移動現象の解明、その後もメタンハイドレートなどの研究に邁進されます。

エネルギー資源学の出発地点ですね。

そして、文系・理系学問の融合を信条とする環境科学研究所において、社会に不可欠な資源開発と、その安全性の確保、つまり地球環境と人間社会の共存共栄のため、科学データと社会データの両輪でもって政策提案まで行う総合的な”資源・環境”研究をご専門とされています。

地球科学という日本に閉じない世界共通の学問として拓く研究室には、
日本の他、モンゴル・インドネシア・タイ・フィリピン・バングラディシュ・中国・ボツワナ・モザンビークから多くの留学生が集まり、巣立っていきました。

スライドの写真から駒井先生のお人柄そのものの楽しく自由な気風の研究室で、楽しい学生時代を過ごしたことが伝わってきます。


駒井先生は仙台市環境審議会温暖化対策部会長を勤めておられ、現行の環境計画に関する施策の柱の一つとなっております。

業績の一つで驚くことは、これまで国(省庁)、自治体などの委員会にご所属された、その数の多さ。

中でも東京の豊洲市場移転では、専門家委員会でのファシリテーターとインタプリター(通訳者・解説者)をお勤めになられ、地下水・土壌汚染対策(盛り土問題など)で紛糾する説明会の報道画面で頻繁に目にしました。

この講義の中でも、その時の話題を取り上げられていて、あらためて「リスクコミュニケーション」(※リスク分析の全過程において、リスク評価・管理・専門家・消費者・事業者等のステークホルダー間で、情報および意見を相互に交換すること)の重要性について触れていらっしゃいました。

さらに、専門家委員会インタープリターのご経験から「専門家と一般人との間に生じるギャップ」を埋めるための取り組みと情報発信は、今のコロナ禍における様々な対応に関して、その経験が生かされていないとの示唆がありました。

最近の興味・関心は”幸福度”。

研究テーマとして取り上げておられます。

幸福は非常に個人的な感じ方のお話に聞こえますが・・・

”環境”という観点では、身近な水や空気や土壌の安全性において、調査対象者の”社会幸福度”と”世界幸福度”が高いというアンケート結果のデータを示して下さいました。


また、幸福に直結するあり方として『寛容であること』を心掛けていらしたと。

今置かれた状況に困難が生じても”自分の環境を最適化する”こと。

相手がいるシュチュエーションで言えば、全体の調和のために、関係する皆にとって良いように・・・

自分の環境を”少し変える”、”最適化する”

相手の環境に”近づく”、”共有する”、”共鳴する”

そんな極意も教えて頂きました。

講義終了後、ご挨拶をされた環境科学研究科研究科長の土屋範芳先生から

今まで、駒井先生に大小多くの相談をしてきたこと、駒井先生に話すとスルスルと解決の形が見えてくること、会議の場でも意見がどんどん吸収されていき、程よく着地することが不思議であったとのお話があり

「常々”中庸の徳”というものかな、と考えていましたが、どうも、それよりも上のものがあるようだと、今日のお話を聞いてやっと分かった。」

同意激しく、頷くことばかりのご挨拶でした。


世界中を訪れた調査活動のスライドでは、モンゴルの地下水、ブラジルの鉱山、モザンビークの廃棄物、ボツワナの鉱山調査では野生のゾウの群れをバックにした!!写真を見せて下さいました。

現在、本を執筆中ということで、日本はおろか世界中の難しい環境問題や社会問題に取り組んでこられた駒井先生の”駒井流渡世術”が披露されている模様。

最後に壇上で教え子の先生から、大きな花束を受け取った後、会場の皆さんに笑顔で謝辞を述べられていました。

 

さて、私の目標が一つできました。

環境学習にもご理解がある駒井先生に「それ、いいね!やりましょう」と笑顔でお力添えをいただけるような企画の立案!

頑張ります!!

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