NEWS 〈 青葉環境保全 〉からお知らせ
東北大学「白石和紙・正藍冷染作品 お披露目会」
2022/04/17
去る3月9日に東北大学大学院環境科学研究科主催で「白石和紙(写真の奥)・正藍冷染(写真の手前)作品 お披露目会」が開催されました。
AOBAは2年ほど前から同研究科でサポートのお仕事をさせていただいており、その一つとして、今回の正藍冷染の作品づくりに企画の段階から関わらせていただきました。
お披露目会までの長い道のり・・・思い入れたっぷりのプロジェクトです。
2020年の3月に同科研究科長から栗原市の千葉家が継承する「正藍冷染」で、東北大学の萩のロゴマークをデザインした旗を作る計画についてお話がありました。
正藍冷染とは 手とてとテ ~仙台・宮城のてしごとたち~
初代の千葉あやのさんが人間国宝であったことや、日本最古、しかも薬品などを一切使用しない自然発酵の藍染め技法であること。
毎年、初夏に行われる藍染めの様子は、多くの報道機関で取り上げられており、一度は手に取りたい作品でしたので、思いがけぬ機会に奮起したのを覚えています。
ところが、プロジェクトが始動した2020年は、自然発酵の藍染め技法ならではの事態が起こりました。
40年に一度あるかないか・・・という「藍がでない」という年になってしまい、藍染めの時期である初夏に延期が決定、翌年に繰り越しとなりました。
年が明け、2021年の春に東北大学ロゴマークをデザインした柄付け(型染め)のための”型紙”や道具を作り、千葉さんのお宅へお届けした後は、藍の発酵を待ちました。
昨年は無事に藍の発酵が進み、6月中旬に藍染めが終了。
全工程を撮影させていただきながら、千葉家の目の前にある”二迫川”で行われる「洗い作業」で鮮やかな染物が川面に泳ぐ姿を見てホッとしました。
盛夏が過ぎる頃、染め上がった反物を縫製をご依頼した株式会社永勘染工場さんにお渡しして、10月初めに縫製が完了。
完成品を広げて見せていただいた時は、もう・・・感激しかありませんでした。
当初からこの一連のプロジェクトに携わって下さった皆さんをご招待して「お披露目会」を行うことを決めておりましたが、冬季は新型コロナの感染拡大もあって、開催の見通しが立たずに、延び延びに。
今年に入り急ピッチで諸調整を進めるとともに、開催日に合わせて藍染め作品の展示作業を行いました。
新しい居場所で作品が醸す藍の色は、隣の白石和紙の作品やエントランスを飾る”木のオブジェ”、鉱物などの自然素材のモノ達と瞬時に調和。
天井が高く広い空間の空気感が一変したように感じました。
さて!お披露目会には、東北大学の広報担当である大隅典子副学長はじめ、先に完成している白石和紙作品の産地代表として山田裕一白石市長もお招きしております。
皆さん、楽しみに駆けつけて下さるとのことで、お迎えの準備に取り掛かりました。
式典会場となる「大会議室」は、もともと無機質な感じの白い空間。
この空間を、ここ数年かけて改造を行っていったそうで、多種類の木材を組み合わせた壁面のルーバーパネルとテーブルが設置されると雰囲気が変わり、温もりや安堵感が生まれます。
壁面のルーパーパネルの下地に貼り巡らされているのは、250枚もの白石和紙。
和紙の材料となる”トラフコウゾ”の木の皮が漉き込まれているので、より自然に近い雰囲気を醸します。
藍染めには、柄付け(型染め)のための型紙が必要でした。
今回のプロジェクトは、”できるだけ伝統的な技法にこだわる”ことが、コンセプトだったので、型紙用の和紙を塚原英男さん(手すき和紙工房 潮紙)にお願いして、耐水性を出すために柿渋を塗布してもらいました。
型紙の切り抜きは精度を優先して、東北大学の工学部・工学研究科「創造工学センター」という研究・教育のために様々な工作機器や装置が使用できる施設で、ご指導いただきプロッターマシンを使用しました。
様々なゲストがお揃いになる機会なので、和紙の多様性(素材、質感、手触りの違い)をお伝えしたく、型紙の切り抜きの後に残った柿渋和紙と塚原さんの和紙カレンダーを再利用して、ゲスト席に置かせていただきました。
(上の写真)一番白く見える和紙は、昭和20年頃に熊本の和傘屋さんに納められたまま、未使用で残った和紙を解して漉き直した再生紙です。
触るとしっとり・しなやか。
春の到来を感じる穏やかに晴れた日の午後。
エントランスに集合頂いたゲストの皆さまに、2つの作品をご覧いただくことから「お披露目会」が始まりました!
この「お披露目会」の開催レポートは、東北大学大学院環境科学研究科こちらから!
正藍染 東北大学学章
そして、各工程についてのレポートも合わせてご覧ください。
正藍冷染 4代目 千葉正一さん
型紙用和紙製作 手すき和紙工房 潮紙 塚原英男さん
縫製(型染め等指導)株式会社永勘染工場