NEWS 〈 青葉環境保全 〉からお知らせ
オフィスの防災備蓄からはじめるBCP(事業継続計画)
2019/06/27
コクヨ東北販売株式会社で開催された「オフィス防災セミナー&見学会」に参加させていただきました。
「企業が緊急事態を生き抜くための計画」=BCP(事業継続計画)
まずはじめに「防災備蓄から始める事業継続~オフィス防災の新しいかたち~」と題してコクヨの防災ソリューション事業部、防災士の矢部昌洋さんからレクチャーいただいた。
BCPとは・・・
自然災害、感染症、テロなどによる緊急事態が発生した時に、会社が損害を最小限に抑え、最短で事業の復旧と継続を図るための計画
のこと。
BCP策定の目的はというと・・・
緊急事態に対して、
・会社の資産を守ること(まずは人命)
・事業を継続すること
会社は、社員がいなければ(来なければ)仕事にならないのである。
あらかじめBCPを策定しているか否かで、緊急事態の発生後、結果的に事業縮小や最悪の場合、廃業に追い込まれてしまうケースがある。
逆に、周りに先じて体制の立て直しと事業継続を安定させた場合、操業の度合いが平常時を超える可能性も高くなると言える。
日本において、緊急事態といえば大地震などの自然災害。
発生する確率と発生した時の被害が非常に大きいのは周知の通り。
(実際、この見学会の前夜に山形県沖で6度強の地震があった)
過ごす時間の長さで言えば、夜間は自宅、昼間は圧倒的に就業場所で遭遇する確率が高い。事実、東日本大震災の時も職場にいた方はたくさんいらっしゃると思う。
さて、調査によると国内において、BCP策定が完了している会社は、17%に満たない数値であるという。
普及率の低さについて、現状の課題として、いくつか挙げられた。
・策定に要する時間や労力のこと
・物品購入の費用がそれなりにかかる
・マニュアルや文書を作ることがゴールになりがち
・社内に浸透せず、いつしか忘れ去られる
また、自身も感じたことであるが、BCPについて何から始めたらよいものか、全く検討がつかないというハードルの高さもある。
このセミナーの主催であるコクヨさんは、防災グッズも販売するメーカーでもあるので、“オフィスに備蓄するモノ”からBCPを考えるという、非常に分かりやすい視点でお話された。
社員、ひいては会社を守るために必要なものであるのだから、手始めに“モノを備える”ことから、その管理・運用や役割を決めていくのは分かりやすいかもしれない。
さて、あくまで備蓄品である。
普段の管理やいざという時の運用について、どんな課題があるだろうか。
それなりの保管スペースも必要であり、全ての会社のオフィスが広々として、安全な倉庫や備品庫が完備されている・・・なんてことはあり得ない。
キーワードは「省スペース」「表示の分かりやすさ」「整理のし易さ」「容易な操作性」といったところだろうか。
レクチャーの後、実際に色々と体験させていただいた中から、いくつか起こりそうな状況と解決できそうなグッズをQ&Aっぽく挙げてみたい。
ケース1>ダンボールに保管した備蓄食料品や非常用グッズ、散乱しており、どれがなんだか分からない。
内容がすぐに分かるデザイン。賞味期限や使用期限も前面に表示されており、キャビネットでまるっと一覧できると整理や管理の点でストレスフリー。
また、水と食料は、一日分が一人分づつ箱詰めされているので、各自の席で管理してもらっても良い。
ケース2>ヘルメットあるある。普段は邪魔にされ、隅にやられて、埃をかぶってない?
ヘルメットの形はほぼ決まっているため、平置きしても重ねてもスペースが占有されるもの。天頂部分がクルっと反転するタイプだと重ね置きが可能。
緊急時にすぐに着用しなければ意味をなさない。
ケース3>救護用品は倉庫の中。取りに行ったら扉がゆがんで開きません・・・
オフィスの隅にピタッと収納。三角コーナー型はエレベーター内にも設置されているのを見かけます。停電時の“閉じ込め”対策。
中には救急用品、ケミカルライト、手回し充電ライト、トイレ、飲料水、食料、寒暖対策グッズなどなど。
ケース4>食料に調達に目が行きがちだけど、出すことも同じくらい重要。(もしかしたら、一番重要かも)
あまり手間をかけないこと、運用が明確であり、快適性もポイント。
人は一日5回トイレに行く。
その計算で10人一日で重さは約15kg。
悪臭対策も兼ねて凝固剤を使用。
黒い袋に1回づつ、さらに回収するための重さに耐える破れにくい専用袋、そして、運搬用の台車がセットされている。
実験で40回分が入った回収袋は女性が両手でやっと持ち上がるような重さ。
ケース5>眠る時のこと。毛布は大事。大事だけど、それだけではとてもじゃないが身体は休まらない。
敷布団の替わり、までとはいきませんが、軽くて折りたためる柔らかいフェルトみたいな素材の敷物。
和式布団を愛用されている方なら許容範囲かな、と。
空気を入れて使用するビニールタイプはコンパクトに収納可能で端を折り曲げると枕になる。
などなど。
その他、食料品などの試食もさせていただいた。
オフィス設計や働く環境を知り尽くしたコクヨさんであるので、会社ごとの人数やスペース、レイアウトなどに応じた提案が可能とのことである。
さて、最後に。
現在、経産省から「備えあれば、憂いなし~トイレットペーパーを備蓄しましょう~」という呼びかけが行われているとのこと。
トイレットペーパーの重要性については、説明は不要かと思う。
今後、30年内にかなり高い確率で南海トラフ沖地震の発生が予想されているが、要は国内トイレットペーパー生産量のうち、実に4割近くが静岡県で生産されているという事実。
この話を聞くと、とても複雑な気持ちになるが、全国的な不足に陥った時のことを考えると、出来ることから少しづつでも始めておこうと思う。