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東松島HOPE『自然環境調査員 カトさんの生き物講座 猛禽類”ミサゴ編”』

2023/04/12


やって来ました!東松島!!

ここは、一般社団法人東松島みらいとし機構(通称:HOPE)

今日は、HOPEの新プロジェクトとなる「教えてHOPEさ~ん」講座の第一弾がまもなくはじまるところ。

『自然環境調査員 カトさんの生き物講座 猛禽類”ミサゴ編”』(主催:一般社団法人東松島みらいとし機構 / 東北大学 大学院 教育研究科・環境科学研究科)


「教えてHOPEさ~ん」は、地域の自然環境、伝統文化、食やエネルギーなどを楽しく学ぶ講座を東松島市域のお子さん、親御さんを対象に開催していく予定です。

春先の寒暖差が激しい時期・・・「寒」の方に見舞われたこの日、”みぞれ”が降りしきり、朝から寒いこと、寒いこと。


講師の嘉藤慎譲さん(株式会社地域環境計画 東北支社長)

講座名そのものズバリ、自然環境を調査する現役の調査員、専門は「猛禽類」です。

HOPEの敷地と隣接するお寺に20m超の欅の木を確認していた嘉藤さんのアイディア、そして、大変理解のあるご住職様のご協力により、講座参加者の子ども達に、調査の際に必要な”木登り”の実演を披露できることとなり、朝早くから黙々と準備を進めていらっしゃいます。

講座企画の打ち合わせで開口一番「東松島ならミサゴだね」と言っていた嘉藤さん。

東松島は海はもちろん、大きな河川も交わる水辺の環境と里山の自然が豊かな場所です。

ミサゴも飛ぶし、ブルーインパルスも飛ぶ!

(アイキャッチ画像は以前、練習飛行の様子を大興奮しながら撮影したもの)


参加者の皆さん集まる屋内会場「フューチャーセンター」の中で講座がスタート、まずは講師からのご挨拶がありました。


さて、忙しいっ。

何が始まるのか、分からないまま。。。参加者の方には雨の中、駐車場スペースへ移動していただくと、嘉藤さんは木登り装束へ(ヘルメット、ハーネス、ロープなど)

ヘルメットのてっぺんには映像用カメラを装着する部品(テレビ番組でよく見るあれです!)がついている・・・嘉藤さん「YouTuberみたいで」とボソり。


実演前、ロープがかけられた木の前に集まった皆さん、口々に「えっ??下に枝がないけど。。。?」、「ロープ、どうやってかかったの?」などなど。

これは「ロープアクセス」と呼ばれる摩擦の原理を応用した手法です。

自分の全体重を自分の足の踏み込む力のみで、どんどん上昇させていきます。


あれよあれよ、という間に、15mの高さへ。

親御さんからの「えぇっっ!早い、すごい高い!!」という驚きの声をよそに・・・

お子さんからは「登りた~い!!」の大合唱。

それは、またの機会にね!


さて、温かい屋内へ戻り、嘉藤さんのお話が始まりました。

自然環境調査のお仕事ってあまり認知度は高くありませんが、自然や生き物が好き!もっと知りたい、”調べる”ことに興味がある、そんな希望や夢がお仕事となること。

木登りが仕事?

調査したことは、どんなことに役立っているの?

それが自分達とどうかかわっているの?というお話しが続きました。

そして、「今日の講座のように、生き物について分かりやすく伝えることもお仕事です」と嘉藤さん。


4~17歳と親御さんまで多年齢層な講座になるので、休憩をこまめに挟み、その際に調査道具などを見て、触ってもらい理解を深めていく工夫もありました。

見たことがあるものや、何にどう使うのか、皆目見当がつかないものもあり、丁寧な説明があります。


こちらは高い木にロープを掛けるために使う巨大なパチンコ。

ゴムが太いし硬いし・・・お子さんや女性だと引っ張るのが大変!

この後、パチンコの実演があり、観衆を前にした、ちょっと緊張の瞬間。

朝の試し打ちも含めて「今日イチ」という出来の実演は、重り付きのロープがキレイな放物線を描いて高く遠くへ飛んでいきました。


上の写真。『海洋ごみ』です。

主に漁具、PP紐などで、これらはミサゴの巣から回収されたもの。

自然動物としてパートナーを探し、命をつなぐため繁殖行動を行う鳥達。

生まれてくる雛を安全に育てるため、営巣(新居作りやリフォーム)をしますが、その時に拾ってきてしまったのですね・・・


人の社会で作られたものが人の手から離れ、自然に還ることもなく、鳥が知らずに拾い集めてきてしまったモノを、少し驚きの表情で見入るお子さんも。

皆さんに手に取っていただいた海洋ゴミ入りのジップ付ビニール袋を引き取りに行くと保護者の方から「なんだか・・・申し訳ないよね」と言いながら渡して下さいました。


嘉藤さんと高校生のお兄さんが広げて見せてくれた実物大のミサゴ、翼を広げた猛禽類ってこんなに大きいのですね!!

その後、猛禽類という種の特徴からはじまり、ミサゴに関するトリビアが盛りだくさん。

ミサゴは最近、タカ科から分かれてミサゴ亜科となりました。

それはヒト科の中で「ヒト亜科」と「オラウータン科」に分かれているくらい、違っているということ。

ちょっぴり喧嘩が弱かったり、縄張り意識がゆるかったり、足(手)が大きいことや住まいの環境要素なのか性格なのか、巣の造りが大雑把だったり・・・

でも、魚を獲るための身体機能の進化がものすごかったり!!

また、360度カメラで鳥の目線を体験したりと、貴重な写真や調査の経験に基づいて存分に学びました。

個人的に、あの”ふわふわ”と可愛らしい鳥のヒナの概念が覆るようなミサゴのヒナの写真は衝撃的でした!

嘉藤さんは、一貫して分かりやすく擬人化したお話しぶり、「みんなだったら、どう思う?」という問いかけが多いため、理解が促されている様子が見受けられます。

 

自然動物は私達の想像を遥かに超える厳しい生存競争の中で懸命に生きています。

人も同じ地球で生きる”生き物”。

その仲間として、大事な繁殖期等は容易に近づいたりせず、鳴き声だけで存在を感じてみるとか

迷惑をかけないように、海洋ごみのように無責任なごみを出さない工夫や海や山の環境をキレイすることなど、普段の行動を少し考えてみる・・・

この講座が、そのきっかけになるといいですね。

 

嘉藤さんとの打ち合わせ、そして、何度か東松島に通っているうちに

大きな河川にある電線や農道の電信柱にミサゴの姿を見つけて、とってもテンションが上がりました。

実物は、これまた、たまらなくカッコいいんです!

「見つけた」というよりも「見えるようになった」という言い方が正しいかも。

見えるようになると、世界が広がります。

そして、何だか生き物の全てが愛おしくなってきます。

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