AOBA青葉環境保全より良い環境をめざす

NEWS    〈 青葉環境保全 〉からお知らせ

復興大学『現場実習』~女川編~

2019/09/20

東日本大震災の直後、設立された『復興大学』

復興大学

宮城県、仙台市をはじめ、県内大学等の教育機関、20を超える組織が連携協力をして”災害に対応できる人材育成”、”教育をツールとした復興支援”、”企業への支援”、”ボランティア支援”の活動をしています。

その活動のひとつが「現場実習」で、現地に行き、復興に携わった方のお話をお聞きするというプログラムです。

この貴重なプログラムへ参加のお誘いを頂き、AOBAからも参加させていただくことになりました。

バスの中では、モデレーターである東北工業大学(復興大学事務局)副学長・教授の菊地良學先生から、今回は「産業界・企業による復興の取組み、主に地域産業(生業の創出)とまちづくりについて学ぶ」内容であるとのご説明がありました。

女川町に到着すると「女川町まちなか交流館」へ。



 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

はじめに女川町地域振興課公民連携室の土井さんのお話をお聞きしました。

とてつもないスピード感で「復興計画」を民間から町(行政)に提言した女川町は世界中から注目され、”復興のトップランナー”と呼ばれています。

まず、震災直後、産業界が中心となり立ち上げた女川町復興連絡協議会(FRK)の存在が絶大で、町民と行政をけん引していきます。

女川を”復元する”のではなくて、震災前から課題となっていた人口の減少や高齢化、商業・産業の問題も解決できるまちづくりを町民の皆さんで考えていきます。

女川の魅力を活かす景観づくり

命を守るための「減災」を軸とした漁業~商業~住居エリアの設置

観光客の回遊性と生活者の動線を考え抜いた町の機能の配置などなど。

どれをとっても“これから女川で生きていく人々の自分ごと”です。



 

「女川町まちなか交流館」には、復興計画を示すジオラマもありました。震災からの記録の展示スペースも併設されています。

 

 

お話をお聞きしたあとは、実際に女川のまちをご案内いただきます。



 

 

 

 

 

 

歩いてみると女川町は役場や金融機関、町民のための交流施設など、徒歩圏内に集約されたコンパクトシティを目指していることがよくわかります。





写真左は、女川駅舎の展望スペースからの眺望。

まっすぐ海まで伸びており、レンガ道のちょうど真ん中から初日の出が!!

 

 


印象的だったのが、「ハード面の整備はあくまで身の丈にあったものを作ること」と他の被災地からの助言を反映したという、町役場に併設されている程よい規模のホール(500人収容)。



 

 

 

 

 

 

女川町の基幹産業はなんといっても漁業。商業エリアには、新鮮な海産物、加工品は伝統的なものから珍味まで、さすがの品揃えです。

ちょうど昼食時となり、参加者はおもいおもいの飲食店で舌鼓をうちました。



さて、この現場実習、AOBAのベテラン、S課長とご一緒させていただきました。

「一言、感想をください!」とご依頼したところ、立派な原稿を下さいました。

現地で仕事をされていた人の震災前と後の記憶、経験にもとづく言葉は重みが違う・・・と実感するとともに、S課長の真面目で優しいお人柄が文面からにじみ出ています。

全文、掲載させていただきます。

*************************************************************************

復興大学 女川コース現場実習参加にあたって

私は昭和58年10月に入社以来、浄化槽ほか排水処理施設の維持管理を仕事として、現在に至っています。

女川町は水産加工が盛んで、サンマ、いわしの水揚げも全国的に有名です。

全盛期には、町の魚市場、各加工会社の排水処理施設の仕事を盛んに行っていました。

女川町魚市場周辺一帯加工場が立ち並び、混み合っている状態で活気があったことを覚えています。

震災発生により、弊社の石巻営業所も壊滅し廃業となった為、私が女川町の処分場や小中学校など公共施設の維持管理の担当となり、一年間ほど相当な頻度で足を運びました。

学校の廊下には、色々な展示品、張り紙があり、見るたびに「負けるなよ」と涙したのを覚えています。

あれから8年が経過、女川町とは疎遠状態だった為、気になっていたところ、今回、復興大学による現場実習参加の誘いを受け参加しました。

女川町に到着すると、以前とは全く違っており、町に狭苦しさがなく、ゆったりとした印象を受けました。

色々な説明を聞き、勉強になったことは、100年後の未来に向けた維持可能なまちづくりとして、若者の意見を取り入れ、還暦すぎの人間は口出しするなという姿勢。

女川駅からシーパルピア女川を通って、海岸に向かって伸びる開けたレンガみち(歩道)を散策すると、スローライフを感じ、動線を考慮した幅広の計画道路もゆとりを感じさせる、とても良いまちに仕上がった様に思います。

今後、人口減少が懸念されるところでありますが、若者たちの知恵袋を活用して益々の復興実現を期待します。

レンガみちを説明を受けながら散策中、少しはなれた衣料品店らしき年配の店主が、寂しげにこちらを眺めていました。今度また女川に行く機会があったら是非のぞいてみようと思います。

*************************************************************************

女川駅・中心街から程近い、小高い丘の上に竣工したての女川町役場があります。

役場は誰もがお世話になり、節目節目に赴くところです。

丘の中腹、海を望むバルコニーのようなエリアがあり、そこには震災の犠牲となられた町民の皆さまのお名前が刻まれていました。




 

 

 

 

PAGE TOP