NEWS 〈 青葉環境保全 〉からお知らせ
東北大学 教育資源バンクプロジェクト『東松島長寿味噌×矢本東小学校』その1
2024/09/24
季節はすでに秋だというのに、猛暑がその手を緩めない9月中旬。
ここは、東北大学の川内キャンパスの一室で、工学、理学などのいわゆる理系の研究科が林立する青葉山キャンパスに対して、川内は文学や教育学などが集まる文系のエリアです。
東北大学大学院教育学研究科 准教授 劉靖研究室では、2日後に迫った小学校での授業を担当する学生さん達が作成した授業スライドを使ってリハーサルに励んでいました。
この日、学生さん達は進路に関わる大事な発表が終わったばかり・・・およそ1か月前から忙しい中、授業スライド作成を密なコミュニケーションで進めて下さった皆さんには頭が下がる思いです。
さて、この授業の実施について、はじまりは東松島市を対象として東北大学の劉先生と一般社団法人 東松島みらいとし機構(HOPE)が連携して取り組む「教育資源バンクプロジェクト」
振り返れば、2年前に企画させていただいた環境・エネルギー・歴史文化・郷土の食材等、複数のプログラムは、市民向け講座としてHOPEさんで実施したものが2講座。
昨年の晩秋に、次年度(2024年度)の総合学習の1コマとして提案を希望される小学校さんが現れて、いよいよ教育現場へとコマを進めることができました。
プレゼンの機会を得て、そこから採用されたのが、東松島長寿味噌さんを題材にしたもの。
今回は「工場見学」と「授業」の2本立てのプログラムとなり、東松島長寿味噌さんは快く見学対応を受けて下さいました。
さぁ、授業本番の日!!
授業の実施について受け入れをして下さった『東松島市立矢本東小学校』さんです。
緊張の面持ちの東北大チームと訪うと、玄関には私達への歓迎のメッセージが貼りだされており、教頭先生が出迎えて下さいました。
小学4年生、3クラス 88名が対象。
この人数だと工場見学だけで半日かかるため、味噌に関する事前授業は放課後30分の「放課後あそび時間」に実施することになり、音楽室を会場として提供していただきました。
開始時間が近づくと、一気に廊下が賑やかになり、「こんにちは~」と元気な挨拶とともに続々入ってきます。
一度にたくさんの子ども達と会うのは久しぶり、男の子たちはまだまだ無邪気でやんちゃな印象、女の子たちは少し大人びてくる頃かな?
はじめに先生となる東北大学生から自己紹介です。
「私たちは東北大学からやってきました。東北大学は知っているかな?」、それに対して「知ってる~」の大合唱。
「大学には、お医者さんになる勉強や病気を治す研究、機械やロボットを作ったりするなどの色んな研究があります。その中で私たちは教育について研究をしています」と研究室の紹介もしていただきました。
授業開始です!タイトルは『「東町島長寿味噌」のヒミツを探ろう!』
東北大生達が最終までアイディアを出し合って、授業本編前に「どんなお味噌料理を知っている?」という発問を追加しました。
「ラーメン!」「味噌ラーメン、美味しいよね~」、「お味噌汁!今朝、お母さんが作ってくれました」など自由なやりとりが飛び交うアイスブレイクタイム。
旅行が趣味という先生の1人、Tさん。旅行先で食べた各地の味噌メニュー、そして、出身である愛知県の八丁味噌を使った炭酸飲料水やソフトクリームなどの創作メニューを紹介してくれました。
さて、授業の本編がはじまり、まずは「味噌の歴史」から。
味噌は日本に中国から伝来したばかりの頃、高貴な身分の方など限られた人が食するものだったこと、その後、製造技術が広まっていき、庶民の食べ物となったこと。
さらに原料となる農産物(豆・米・麦)の産地と結びつき、各産地で特徴ある「ご当地味噌」が誕生するまでの説明がありました。
個人的に「ご当地味噌(産地と名称)と味噌の種類(原料)」をプロットした日本地図を見て”面白いなぁ、授業で見せたいな!”と思っており・・・探していたら、分かりやすくて、デザインも可愛いデータを発見しました。
上記図 株式会社大源味噌ホームページ ”みその豆知識” より
早速、使用許可をもらうために、ご連絡を差し上げたのは、大阪の株式会社大源味噌さんで、創業は、なんと江戸末期!文政6年(1823年)の老舗製造販売会社です。
8代目にあたる室井郁子社長は、突然の連絡にも関わらず趣旨をご理解の上、お願いを快諾して下さり、元データを提供して下さいました。
室井社長は「日本人が1300年守り伝え続けてきた日本の伝統食を積極的に食育で伝えていきたい」という思いをお持ちとのことで、子供たちに知ってもらう&親しんでもらう機会があることを、とても喜んで下さいました。
この度のお力添えに心から感謝申し上げます。
地図を使ったクイズがあり、ひと盛り上がりの場面も!
授業は、ご当地味噌の誕生に関わる重要な要素として「戦国武将と味噌の関係」にさしかかりました。
歴史は来年から学ぶそうですが、戦国時代、地元の大大名であった伊達政宗公のことは「知ってる!!!」という反応。
戦に明け暮れる時代、味噌は栄養価が高く、携帯のしやすさ、保存期間も長いというスーパーフードであるため、兵糧としての利点が多く、武将達にとって戦略の一つでした。
何を隠そう伊達政宗公は、藩政において味噌作りを、とても重要視した大名で藩営の工場を設置した、まさに先駆者だったのです。
授業の締めは「東松島長寿味噌のすごさ」についてです。
上記写真 株式会社東松島長寿味噌ホームページ 東松島長寿味噌とは より
東松島長寿味噌は、地元産の原料100%の使用と特徴となる風味を醸すために2種類目の麹は、扱いが難しいとされている「大豆麹」を自社で手間暇こめて作っています。
実は、東松島市内の学校給食に使われているのは「東松島長寿味噌」
このことを知っている子は、いなかったかも?
自分達にとても身近なものという認識を得て、歴史や特徴、手間暇がかかっていることを学んだ子ども達・・・
2日後、いよいよ工場見学、そして職人さんに会いにいきます!!