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東北大学 教育資源バンクプロジェクト『東松島長寿味噌×矢本東小学校』その2

2024/09/24


「教育資源バンクプロジェクト」は、東北大学大学院教育学研究科 准教授 劉 靖・劉研究室一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)が取り組む事業です。

第1弾は東松島市立矢本東小学校4年生を対象とした『「東町島長寿味噌」のヒミツを探ろう!』


東北大学大学院教育学研究科 劉靖研究室の学生さんによる事前授業から2日経ち、今日は「東松島長寿味噌」工場見学の日。

早朝、稲の刈入れも終わった田んぼが広がる東松島市の長閑な風景を見ながら現地へ向かいます。


渋滞を警戒して早出をした結果、スタッフの集合時間よりもだいぶ前に到着した私を事務所に招き入れて下さいました。

お茶と一緒に「お味見どうぞ!」と香しい味噌だれをかけた”味噌こんにゃく”を出して下さいました!

これは、間もなくやってくる子ども達のため、通常のお仕事もある中、100人分もご用意いただいたもの。

「お味噌汁も考えたのですが、こぼしたりしないように一口で食べれるよう味噌こんにゃくにしました」と配慮いただいたメニュー。

その後、到着された一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)のお二人とご馳走になり、その美味しさを絶賛。

きっと、子ども達も喜んでくれることでしょう!!


学校から10分かからない移動時間というのも好条件で、予定より早く、東松島市が所有するマイクロバス2台が到着しました。

このバスは、学校活動等に利用できるということで、毎年、なかなかな争奪戦になるため、早めに予約手配が必要だとか。

春からバス予約も勘案しつつ、学校内の調整をして下さった学年主任の先生に感謝です。


1クラスが約30名。3クラスを完全入れ替え制で実施します。(つまり同じことを3回するということ)

バスを降りて、ご挨拶が済むと早速、見学がスタートしました。


この見学の規模だと、食品を扱う工場では衛生管理の面から工場内へ入れません。

外から工場内部を見ることができる通路へと進みます。


今回の授業や工場見学のまとめのワークシートは、事前授業のスライドと一緒に東北大学生が作成して下さいました。

全員バインダーに挟んで持参していて、聞いたお話しの内容をしっかりと記入していますね。


1回の仕込みの量1・5トンに対応できる大豆を蒸す機械や”麹”を寝かせる装置などが並ぶ工場内の説明を聞きながらガラス窓に顔をくっつけて覗き込みます。

隣のエリアでは、完成した赤味噌を袋詰めしている作業中で、手際よく進める様子に歓声があがります。

作業の合間に手を振ってくれた職人さんに全員で手を振り返していました。


「では、最後に実際に食べてみましょう!」と言われて驚く子ども達。

事務所前に移動するとスタッフの方と味噌こんにゃくが待っていました。

試食は3クラスとももれなく、その美味しさに大反響!「美味しい!」「おかわり~」との声があちこちから聞こえてきます。

(2回目のクラスのお子さんが到着したバスから降りると、私の前に来て「試食があると聞きましたが?」と真顔で尋ねられました)


味噌の味と香りを確かめた試食で、ひとしきり盛り上がった後は、職人さんへの質問タイムに突入。


今日の工場見学の引率と説明をして下さっているのは、東松島長寿味噌の工場長(職人さんのリーダー)の後藤さんです。

質問:「後藤さんは何年、働いているのですか?」

「38年になります。18歳から働いています」(すげー!とリアクション)

質問:「味噌の香りがすごく良いのは何故ですか?」

後藤さんは、即座に破顔して「職人として、とても嬉しい質問です」

「ここの味噌は、大豆の麹を私が作って入れています」と続けました。

ちなみに、 太郎坊清水(一杯清水)など良質な水源の多い東松島市。

ここも地下150mから汲み上げているという地下水を使用していることも味噌の美味しさの秘密かな。

職人さんは何人いるの?お味噌はどこで買えるの?等々、質疑応答は続きました。


1回40分程度の見学が終わり、全員で見学のお礼を言うと帰る時間。

バスに乗り込み、笑顔で手を振りながら去る子ども達に職人さんや事務所のスタッフの方が応えます。

「お家に帰ったら、今日分かったことを家族の人にも教えてあげてね」

お子さんから家庭への発信力って意外に大きいもので、これからスーパーなどに行く時には、きっとご家族で味噌売り場に興味を持ってくれることでしょう。

そうそう!工場の直売店へ何組か一般の方がお買い物にいらしてましたが、子ども達に「どこの小学校?」と声をかけられたり、賑やかな様子を目を細めてご覧になっていました。

 

さて、今回のように歴史を振り返ると、日本の食文化に欠かせない味噌でしたが、西洋の食文化の定着と利便性や多様化が進む現代では、消費量の伸び悩みに直面しているのが現状。

製造販売の会社さんは、日本の発酵食品と伝統技術を守ることを使命とし、また、伝承のために現代の食生活に馴染む商品の開発にも力を入れておられるとのこと。


(上の写真)トウモロコシを使った味噌パスタ

授業で先生を務めた東北大学生のお手製のものです。美味しそう!

送ってくれた写真には「東松島長寿味噌は、まろやかでとても美味しいですね!」とのコメント付き。

事前に工場下見に来た学生さん達も、このように料理に使って長寿味噌を味わってくれていました。

そして、矢本東小学校とのお打ち合わせで、担当の先生が繰り返しおっしゃっていたのは、この総合学習の一番の目的である『食を通じて知ることにより、東松島を愛する心を育む』こと。

小学校の子ども達に限らず、関わった皆さんが「誇るべき地元の自慢の一品」として職人さんの思いとともに、味覚と記憶にとどめてくれたら嬉しいですね。

 

実は今回の授業には続きがあって、劉研究室の研究分野でもあるSDGsとの関連を学ぶスライドも用意されていました。(東北大チームはやる気満々!)

そのことを小学校の担当の先生にお話しすると、是非、実施を前向きに検討します!というお返事でした。

これから各所で調整を進めていきますが、実施されたら続編の記事も書きたいと思います。

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