NEWS 〈 青葉環境保全 〉からお知らせ
東北大学大学院環境科学研究科 環境行政論「宮城県 保健環境センター」視察
2024/11/20
東北大学大学院環境科学研究科のカリキュラムの中に宮城県(環境生活部)、仙台市(環境局)の方がご担当される講義があります。
私たちが日常を暮らす、あらゆる場面に深く関わる業務・・・
”生活環境を守る”という広義で公的な業務に携わる方々による、実際の現場のお話しは学生達にとっても貴重な機会です。
今日は宮城県さんが担当されている講義の一環として「宮城県保健環境センター」へお邪魔して、センターの皆さんから施設案内と業務の説明をしていただく日です。
履修生の人数が多い予想だったため、大型バスを手配したところ。。。
座席が全て埋まる状況に!
現地に到着するとセンターの方、宮城県の方に出迎えいただき、学生及び引率者の50名は4階建ての本庁舎の中へ。
はじめに大きなセミナールームで全体説明があり、保健環境センターの概要について説明を受けました。
このセンターは、保健環境行政において、保健衛生及び環境保全に関する調査研究、各種試験検査及び情報の収集を行うための科学的中核施設と位置づけられているそうです。
この後、3つのグループに分かれて「企画総務部」、「大気環境部」、「水環境部」の各施設を回りながら担当者の方の説明を受けることになっております。
こちらは、大気・騒音、振動・悪臭が業務対象である「大気環境部」の様子。
大気汚染常時監視、大気分析、特殊公害(騒音・振動・悪臭)に係る試験検査、モニタリング調査や調査研究が業務内容です。
実際に、県内の大気汚染自動測定局からの送信データをとりまとめた専用ホームページ「宮城県大気汚染常時監視情報」に各自のスマートフォンでアクセスしてもらい環境基準が設定されている大気汚染物質(光化学オキシダント、微小粒子状物質(PM2.5)、浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素など)の他、解析に必要な風向・風速などの測定データ(速報値)が公開されている状況を確認してもらいました。
有害大気汚染物質モニタリングで県内の調査地点で大気試料を採取したフィルターを見ると・・・
同じ日に採取されたものでも、地点によって微妙に色味が違っていました。
大気中の揮発性有機化合物(VOCs)を測定するための機材や、採取された大気を分析する部屋もガラス越しに見学、機器などの説明を受け次の施設へ移動を開始しました。
続く「企画総務部」の説明会場は、これまでの研究施設的な雰囲気から一変。
こちらは県内の環境保全活動の活性化を図るために設置された「宮城県環境情報センター」です。
環境学習の充実のため、環境研修室の利用ができるほか、環境学習セミナー等も開催している一般に開かれた施設で、2020年からは「宮城県気候変動適応センター」として、気候変動適応に関する情報の収集と提供も行っているそう。
環境に関する図書、DVD等の閲覧及び貸出や環境学習用教材や展示用パネルを借りることができます。
県内に生息する生き物のパネル展示もありました。
保健環境センターが行う試験検査や調査研究は、正確なデータを迅速に出すことが必要で、組織全体でデータの信頼性を確保することが重要。
また、公務の特性として、公益性、公正性、安定性、継続性、独占性があり、さらに行政処分などの権力性もあるため、行政に携わる人には常に高いモラルが求められているということもお話しいただきました。
最後は「水環境部」
河川・湖沼・海域・地下水・土壌・底質・工場排水等の分析及び調査研究
水道水質、廃棄物、ダイオキシン類等の微量化学物質の調査研究と、こちらも広範囲にわたる”水”に関することが業務内容。
現場のお話しとして、例えば、河川で大量に生き物の死骸が発見された場合、小さな魚が生き残っているのは酸素不足である、エラの異常は化学物質が影響している可能性があるという考察であったり、原因として漬物工場から出た塩分や時には学校の池の塩素消毒が影響したという具体的な事例をあげて下さいました。
この記事を書くにあたり、公共用水域の水質や我々の目には見えない地下水の水質、また、長期的な観察が必要である廃棄物処分場等々の調査結果を公開していることもHPで拝見しました。
説明前の時間には会場に用意されていた調査道具について熱心に質問をする学生の姿があったり、現場の様子を示す写真も多用された説明内容でした。
東北大学大学院環境科学研究科では、地元の自治体との間に組織的連携協定を結んでおり、人材育成の一環としてこのような授業を実施しております。
今後、様々な形で環境問題に取組み、社会に貢献していくことになる学生の皆さん。
この視察、そして、カリキュラムを履修することにより、環境行政について、一つでも多くの学びを得てもらうことに期待したいと思います。