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現地視察会【その2】 「産総研 福島再生可能エネルギー研究所」~地中熱利用~
2021/03/21
さて、「みやぎ地中熱利用研究会」現地視察の2か所目は・・・
やってきました、産総研!
国立研究開発法人産業技術総合研究所(通称:産総研)は日本最大級、経済産業省所管の公的研究機関。
国家戦略にもとづいて、社会や産業に役立つ”技術の創出”と”社会実装”までを「5領域2総合センター」の体制で全国11か所に研究拠点を構え、先駆的な研究開発を行う機関。宮城県内にも仙台市の苦竹に研究センターがあります。
今回訪れた「福島再生可能エネルギー研究所(※以下、FREA)」は、東日本大震災時に日本が直面したエネルギー問題について、次世代を担う再生可能エネルギーシステムやエネルギーキャリア、防災・減災に資するインフラの実証実験など喫緊の使命をもって開所しました。
産総研 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
(下の図はFREAのホームページより)
もちろん地中熱利用についての研究開発も行われております。
はじめに地中熱チーム 研究チーム長(兼)地質調査総合センター 地下水研究グループ付の内田洋平先生から、FREAの研究体制や産官学の共同研究成果、海外での実用化例について全体レクチャーを頂きました。
その後、先端技術を取り入れた風力発電機や太陽光発電システム、水素ステーションを各所見学しながらお話をお伺いします。
全体のお話をお聞きした後、グループに分かれて内田先生の研究室へ。
地中熱利用システムには、
・地下に埋設した管に不凍液や水を循環させて熱交換するクローズドループ※新協地水さんで見せて頂いたシステム
・井戸から地下水を汲み上げて熱交換するオープンループ
・帯水層(一般には地下水取水の対象となり得る地層)蓄熱
があります。
内田先生の研究室の目の前には地中熱利用システムの実証試験場があり
(地中熱系はすべて地面の下にあるものなので外側から見えないですが)
ここでは地下1~2mの浅層に埋めて使用できる”シート型熱交換器”などの実証データを収集されているとのこと。
そして、地中熱研究や実用化において欠かせない最も重要な情報となるのがボーリングコアと呼ばれるもの。(下の写真)
ボーリング:地層を掘削して石を採取する方法。地下の地質を直接調べることができ地盤強度調査に有効で、主に大きな建設工事の事前調査で実施。(地下水や温泉の堀り揚げなどもですね)ボーリングコアはその際に採れる棒状の試料。
ここで問題になるのは、地層の潜在能力値を探る調査にかかる費用の面。
ボーリングコア一箱分は驚きのお値段でした。
(内田先生は見た目は地味だけど宝箱であると説明されてました)
産総研は、ボーリングコア(深度100m程度)の採取を東北各地の平野と盆地で実施することで地下の地質構造や有効熱伝導率の分布推定、広域の地下水流動の様子などのデータを集積しているそうです。
日本は地下水資源が豊富だと言われてますが、大都市圏では汲み上げ規制があるため普及が遅れているという背景があり、地下水の水位、流量の把握がとても重要。
そこで世界初の地下水を考慮した『地中熱ポテンシャルマップ』を作成。
※地下熱ポテンシャルは「熱交換、可能採熱量、適度」を指しており、これらは具体的に”地質・地下水位・地下水流速・地下温度・水質など”の値。
現在、散在しているデータの一元化を図り、公開準備段階とのこと。
また、せっかくの地中熱利用技術やシステムも導入コストが高額だったり、運用の場所により効率が悪くなるようでは普及促進は難しいものです。
システムを最適化する技術や多様な熱交換技術を提供できるように民間企業との共同研究を牽引することは産総研のミッションの一つ。
(下の写真)共同研究・開発の成果を紹介するスペースでは、地下水・湧き水を低コストで効率よく活用できる熱交換機器が展示されていました。
地下水熱利用対応タンク式熱交換器の有効性を実証
さて、FREAでは3月31日まで全研究グループから今年度の研究成果報告会を行っています。
オンライン形式で事前に登録・申込みが必要ですが、期間中何度でも視聴できます。
2020年度 再生可能エネルギー研究センター研究成果報告会開催のご案内
ご興味のある方は是非!
現地視察会「産総研 福島再生可能エネルギー研究所」・・・つづく。