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現地視察会【その4】「産総研 福島再生可能エネルギー研究所」水素ステーション

2021/04/04


現地視察会4回目「産総研 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)」の結び。

今、注目度が高いエネルギーと言えば水素の活用。

FREAでは太陽光発電で作るエネルギー1日分の15%を使用して”水素エネルギー”に変換することに成功しており、この水素エネルギーを日本初の移動式商用水素ステーションにも供給しています。

太陽光発電などの再生可能エネルギーは需給バランス、調整や送電システムの不足のために、せっかくのエネルギーが未利用となってしまう事態が懸念されています。

キーワードは再生可能エネルギーを”使いこなす”。

そのためには個々の技術開発、一連のシステムの確立が重要となります。

 

まず、再生可能エネルギーを水素に変換した場合、水素貯蔵は安全性も含めて真っ先にあがる課題です。

FREAで開発された体積の1000倍にも及ぶ水素を吸蔵できる”水素吸蔵合金”は水素を取り出す際に熱すると水素が放出される仕組み。

これには安全な水素貯蔵技術(燃えない水素吸蔵合金)が開発されており、非レアアースからなる安価な水素吸蔵合金は水素の吸蔵・放出を繰返しても着火せず消防法危険物にあたらない合金。


また、身近な水素活用の一例として「FCV(燃料電池自動車)」があります。

FCVは水素と酸素で発電を行いモーター駆動するものですが、燃料補給の際には高純度の水素を高圧で圧縮するため、これには多くのエネルギーが必要。

結果的に充填する水素エネルギーの4分の1程度がロスされてしまう(ここが普及の妨げとも・・・)

この課題には、危険物非該当の保守不要で安全な貯蔵技術(普及促進には欠かせないポイント)と再生可能エネルギーを利用して高効率に熱し水素に変える熱化学昇圧システムでトータルに対応。

つまり再生可能エネルギーを利用した効率的な水素製造技術、水素吸蔵合金で水素貯蔵と安全な熱による放出技術で必要な時に取り出し電気に変え、一時的な余剰電気は蓄電池を活用する・・・

このように水電解・水素貯蔵、燃料電池、蓄電池の組み合わせと電気・熱需要に合わせた一連の研究開発なんですね。

 

さて!2018年、福島の風や太陽でつくる再生可能エネルギー由来の水素ステーションが誕生。

ふくしまハイドロサプライ株式会社

ここFREAと「ふくしまさいえねパーク」と週数日、交互に専用のトラックから水素を提供しているそう。(専用カレンダーで確認の上、要予約)

視察の日は残念ながら福島市の方に出張中だったため、専用トラックや供給の様子を見ることはできませんでした。

すでにもっと多くの量を運べる専用のトレーラーと運搬用機器を使って輸送し、福島県内はもちろん東京などの需要先へ供給することも始まっている模様。

資源の少ない日本において、今後、「メイドイン〇〇」なんて地名がついた水素がたくさん誕生する可能性が大いにありそうです。

水素はまだまだ一般には遠い存在のように思っていたので、今回、このお話が一番印象に残りました。

東日本大震災の時に私たちが突き付けられたエネルギー問題。

それから10年が経ち、解の糸口を掴み、社会実装に向けて進めてきた結果、省エネルギー、創エネルギー、地産地消、分散高度化など組み合わせの多様性は着実に生まれています。

答えは『一つではない』ということをあらためて思う日になりました。

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