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『南面白山』~ interestingではなくて面が白いから(諸説あり)~
2021/05/13
恥ずかしながら「面白山」は高原一面のコスモス畑や電車で行けるスキー場としか認識がなく・・・(名前の印象によるものなのか?)
泉ヶ岳の山頂から大東岳に連なる山並みを眺めて「あれが南面白山と北面白山」と説明されても、これほど硬派な山岳地帯であることがピンと来ていませんでした。
そんな反省も踏まえ、いよいよ登山シーズンの到来!
この度は『南面白山』山頂を目指すことに。
朝の仙山線、同じ車両に乗車するリュックや登山靴を身に着けた人々に交じって
「面白山高原駅」で下車。
プラットホームから面白山高原や南・北面白山等の各登山口へほぼ直結していて、駅から平地はほとんどありません。
突然!お猿さんの一団が林の中からワラワラっと出てきました。小さい子猿の姿も見えます。
人の存在に怯む様子もなく、もっと近くで見ていたかったけれど「目を合わせちゃダメ」と言われたので我慢、我慢・・・知らんぷりをよそおって通過。
先を行く人間の皆さんはというと、早速、山菜採りに夢中なため、周りにお猿さんがいることに気が付いていない様子。なかなかシュールな画。
自生植物が一斉に芽吹いている斜面は、秋季コスモスで埋め尽くされることで有名。ハイシーズンは9~10月のようです。
コスモス畑を過ぎると以前スキー場だった名残の施設やリストがあるものの、里山の雰囲気が楽しめるゆるやかな斜面が続き、その先の登山口を目指します。
この付近は”コゴ三(屈・クサソテツの若芽)”が一面に生える山菜天国。
振り返ると北面白山の姿が臨め、稜線の登山道が肉眼でくっきりと見て取れますが、こちらはなかなか起伏にとんだコース。
(同じ電車できた方の大半はあちらに向かった模様)
さて、やっと登山口に到着。急に落ち葉が湿り、シダ類が生い茂る別世界の様相。
毛むくじゃらで大きな”鬼ゼンマイ”が顔を突き合わせて地面にうずくまっていたり、陽を求めて、まだやわらかそうな黄緑の葉を伸ばしていたりします。
さらに進むと残雪も残るブナや白樺類などが立ち並ぶ林。
この付近の北向き斜面に”イワウチワ(岩団扇・イワウメ科)”とカタクリの姿もありました。
南面白山へ行くには手前の山の中腹斜面を横切らなくてはならず、早速、絶妙に重なりあった岩場の難所が目の前に。
・・・今すぐお猿さんか、せめて忍者になりたい。
こんなところ、あっという間にぴょんぴょん飛ぶんでしょ、きっと。
何とか岩場をやり過ごすと、すぐに急登の連続ポイント。
先が見えないので心が折れそうになりますが
木々の根がはびこり、落ち葉が滑りやすいので少しづつ足を進めていくのみ。
さらに植生が変化し、笹が群れる地帯に。
笹や木の枝を掴みながら黙々とよじ登ること、しばし。
気温が上昇してくる時間で、笹に乗った残雪が融け、時折「ザザッ」と大きな音を立てて滑ります。(最初は動物でもいるのかと身構えてしまいました)
そして、もれなく残雪から融けだす水で足場はぐちゃぐちゃ。
少ししょんぼりとなりかけた頃・・・師匠から「ウイニングロードだよ」と声をかけられた。
確かに!急に開けたそこは背丈より少し高い木々と笹が ”労いのアーチ” みたいにいざなう平坦な道、数十メートル。
三角点もあるっ!!
その先には思わず「わぁっ!」と声が出てしまった見事な”抜け”の眺望。
南面白山山頂 1225.4m。
10人もいれば一杯になりそうな、そう広くはない山頂地点。
(上の写真)山頂標識の左側、大東岳(だいとうだけ)が、近いっ!
晴天の日は職場の窓から大東岳の正面がよく見えるので、いつも見ている姿からするとちょうど横からの姿。
右側には手前の小東岳(こあずまだけ)
小東岳は一足早く濃緑に覆われた稜線が美しいです。
そこから蔵王連峰へ続く続く山並み。
(すぐそこにあるような感じですが、ここから相当下って相当登ることになるそう)
まだ雪を戴いている蔵王の熊野岳。
そう言えば、初登山は刈田岳(お釜)までだったので今度は登ってみたいなぁ。
登山を始めて一年、今ならいささか自信がある!
・・・とはいえ、急な”登り”は、当然、帰りに急な”下り”になる訳で。
飛び降りに近い傾斜の残雪に尻もちをつき、落ち葉で滑りながらの下山。
挙句、小さな雪崩も目撃してしまうに至る。
下りても下りても駅まで辿り着かない錯覚の中で、つい先ほどの山頂は昨日見たような記憶違いがおきる始末。
ヘロヘロな状態で駅に着くと朝の電車で見かけた皆さんが再集合で北面白山帰りの中には高校生の団体も。健脚だなぁ。
駅の周辺には”面白山紅葉川渓谷”が広がっており、大小様々な滝や吊り橋が楽しめるトレッキングコースがあるそうです。
散策といっても遊歩道レベルではなく、注意が必要なポイントもあるため靴等それなりの装備は必要。
南面白山は里山風情の林道、静かでカラリとした林、湿り気と腐葉土でフカフカのつづら道、手足をフルに使う岩場と笹が生い茂る山頂付近・・・
進むにつれ輪郭の濃い違った表情を次々と見せてくれる山でした。
ただし、登りも下りも少々苦しい分の対価として、山頂の絶景は”お釣りが大きい”
忘れられない景色の一つになったことは間違いなさそうです。