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宮城学院女子大学・平川学長「市民開放公開講演会」
2019/11/26
今年、開学70周年を迎えた『宮城学院女子大学』では記念事業が目白押しです。
11月に学長の平川新先生が講演されるとご案内があり、レンガ造りが美しい”宮女”キャンパスへと出かけて参りました。
平川先生は日本の歴史学者で、ご専門は「日本近世史」。
講演タイトルは「庶民剣士が活躍した江戸時代~江戸時代像を見直す~」とあり、講義室には多くの”歴史ファン”の方々がお集まりです。
『みなさんの思う江戸時代は、“士農工商”の身分制度が厳しくて、刀を差したお侍さんにお百姓さんや商人が「へへーっ」って土下座して、粗相をしたら無礼討ちにあって・・・そんなイメージではありませんか?』
そんな“問いかけ”から始まった講演会。
平川先生のにこやかな表情と耳に心地よい明快な口調、次々と展開されるお話に瞬く間に引き込まれていきます。
『江戸時代も終わりに近づく頃・・・どうも“様子は変わっていた”と考えています』と先生。
なんと!
平川先生が唱える新しい歴史解釈は、
武芸は武士の特権ではなく、町や農村の剣術道場では、商人や農民が稽古にいそしみ、技を修め、時には武士にも勝る(!?)『剣術使い』が多数存在していたという説。
かの新選組を率いた剣豪達も農家の出自であったことは有名なお話。
それは、すでにその時期において、特別なことではなく、関東以北のエリアだけでも農村の道場跡や現存する名簿などの痕跡がたくさんあり、今後の研究によって、どんどん明確になってくるであろうとのこと。
面白い!と思ったのは、”剣術”も”算術”も、あくまで庶民の教養の一つで同列。
刀が算盤に代わるだけで、そこに何ら優劣や上下、隔たりがなかったようだ、というお話。
江戸時代の人々は、存外、やりたいことを自由に決めたり、好きなことや得意なことに精を出して、極めたりしていたんだなと思うと、急に身近な存在に感じるものです。
そして、手元の資料の中の一行。
「従来の研究では、全国に無数に存在する「庶民剣士」を見逃してきたのか?」
に感じた歴史を研究する学者の”すごみ”にハッとさせられました。
学校で習った、例えば・・・豊臣秀吉が「刀狩り」したのだから庶民が“刀”なんて持てるハズない、といったような我々の“思い込み”に対して・・・
歴史学者をはじめ学者は、例外を作ってはいけない。
説明の論理や学説を作るのが学者である。
・・・思わずメモをとってしまった。重みのあること、この上ない言葉。
さて、講演後の質疑応答では会場から次々と手があがりました。
質問したほとんどの方が「ご先祖様が歴史の一事に関わっていたようだ」、「自分なりに先祖のことを調べている」という方でした。
そして、この日、席を並べて聴講させてもらったAOBAの部長も、そのお一人。
歴史の一幕に名を残したご先祖様、「自分のルーツに興味がある」とのこと。
個人的に、歴史って人それぞれに思いを馳せたり、探求できるところが”ロマン”だと思っています。
帰り際、平川新先生の著書にサインを頂きました。