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月山 花便り
2020/10/04
前回、月山登山の記事の中では、ほとんど霧の中。
本来、山頂から見えるはずの雄大かつなだらかな山々と遠く日本海まで続く眺望を写真に収めることができない状態だった。
石道も木道も誰がいつ頃、整備したものなのか・・・考えると気が遠くなりそうになりながら
風や雨や霧の中、下を向きがちな私の目を慰めてくれたのは高山植物達。
台風中継の時、テレビ画面でよく観る、風にあおられたビニール傘のよう。
しずくを集めた綿毛が風向きに任せたまま群生している ”チングルマ(バラ科)”
綿毛みたいな花かと思っていたら、さらに標高が高い地点で見た白い花(下の写真)が咲き終わった後の姿であると、後日、調べて分かった。
山の下の方ではシーズンが終わった様子の ”ニッコウキスゲ(ユリ科)”も上の地点ではまだシャンと咲いていた。
チングルマに似ているけれど、調べてみたら違って ”ハクサンイチゲ(キンポウゲ科)”
”ミヤマリンドウ(リンドウ科)”は低地でみるリンドウとは雰囲気が異なる。
よく見かけた”アザミ”も高所では体長が低く全体的にズングリとしていて雨風に耐えていた。
先端に見える白いものは花粉。
雌しべに昆虫がやってくると筒状の中に留めている花粉を押し上げる!という、種の保存行為が織りなす驚くばかりの自然の摂理。
山頂近くになると ”ハクサンフウロ(フウロソウ科)”の姿もあった。
息切れに立ち止まりながらも、思わず目を細めてしまう健気な植物達。
7月頃まで雪に埋もれている過酷な環境の中、生を与えられた場所で、その一生を懸命に全うする姿は否応なく感動をもたらすものだと思う。
月山は日本海の寒気の影響を受けて、3,000m級の山々にしか生育しない高山植物達に会うことができるそう。
季節折々、これらの姿に魅せられて山を目指す人々が大勢いることに頷く他ない。