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復興大学「現地実習」~気仙沼編~【その1】

2019/11/20

今年、震災から8年経った被災地の“今”について学ばせていただいた復興大学「現場実習」は、いよいよ気仙沼が最終回となりました。

このコースのモデレーターは、東北工業大学 地域連携センター長 ライフデザイン学部経営コミュニケーション学科教授の小祝慶紀先生です。

気仙沼に向かうバスの中では小祝先生から、現地の交通事情・復旧状況や「BRT(バス高速輸送システム)」など交通網のお話を聞きながら・・・

台風19号の影響で一部通行止めになった道路区間もありましたが、おおむね順調に現地へ到着。

気仙沼地区は復興計画の中で、「地域まちづくり」と、それに資する「人材育成」の視点からたくさんの取組みが行われました。

また、産業振興についても地域のあり方や将来予想される課題の解決と共に進めなくてはならないという認識のもと、気仙沼が”目指すべき姿”を打ち出しています。

 

まず、はじめに訪れたのが“震災遺構”となった気仙沼向洋高校旧校舎。

現在は「震災伝承館」という新しい建物と併設されています。

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館

あの時、気仙沼に何が起こったのか・・・・

伝承館のシアター室において記録映像を視聴しました。

当時、テレビに映し出された気仙沼の大規模火災を思い出し、心が凍る思いです。



その後、“語り部”さんにご案内頂きながら旧高校校舎に移動すると、そこには別世界が待ち受けていました。

 



震災遺構”気仙沼向洋高校”は「そのまま」の状態です。

教材・書類・アルバムなどが散乱しており、3階フロアに流されてきた乗用車が大破し逆さまになったまま・・・

また高校の位置よりも少し海側にあった冷凍倉庫の“建物”が押し流されて、校舎4階の角に激突した跡もありました。



日常が破壊し尽くされた様に言葉をなくし、とくかく「凄まじい」という表現以外何も思いつきません。

 

校舎内を巡った後は再びシアター室に戻り、震災後の人々の生き方に焦点をあてた動画を見せて頂きました。

その一つに、当時、「避難所での卒業式」としてテレビで放送され、大変な反響があった「答辞」を読み上げる卒業生代表の姿がありました。

卒業式の準備を進める最中、突然避難所となってしまった母校の体育館。

避難の方々が見守る中で、卒業式が挙行されます。

自分で考えて抜いて、書き上げた「答辞」を、涙を拭うことなく堂々と読み上げた彼の姿は本当に立派なものでした。

気仙沼市立階上中学校の卒業式における卒業生代表梶原裕太君の答辞

(引用リンク先:平成22年度文部科学白書 東日本大震災への対応 P9に全文掲載)

命があること、当たり前の日常の大切さをあらためて考えさせられる内容で、今後も一人でも多くの人に届けたい言葉です。

 

さて、この施設では写真のように、訪れた方々が感想やメッセージを付箋に書いて貼って行くことができます。



このメッセージは施設の方が、日にちごとに保管していらっしゃるそう。

そして、再びここを訪れた際に前回の訪問日を伝えるとそれを見せて下さるそうです。

例えば大切な家族の誕生日、結婚や出産で新しい家族ができた時など・・記念に来館されてメッセージを残す方もいらっしゃるとか。

この気仙沼市向洋高校は、訪れた人々に震災の記憶や教訓を伝える「目に見える証」であり、気仙沼が目指す「津波による犠牲者ゼロのまちづくり」へと導く道標でありつづけます。

気仙沼編、続く。

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