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国際会議参加者への記念品製作プロジェクト2~石巻・雄勝石~
2023/09/26
記憶にも記録にも残る猛暑の今夏。
石巻市雄勝町、ここも暑いのは暑いのですが。。。それでも海から吹き抜ける風は、幾分、涼しくて雄勝湾を一望できるデッキで一息。
三陸エリア特有の深い緑色の海、船が漁から戻ると鳥達が追いかけていく、長閑な風景です。
記憶が正しければ、震災復興事業でも最後の方に完成した防潮堤は見上げるほどに高く堅牢。
さて、今日の訪問先は、雄勝硯伝統産業会館です。
東日本大震災から9年もの月日を要しましたが、2020年に雄勝硯の伝統文化を伝える施設としてオープンしました。
その翌年、「道の駅 硯上の里おがつ」として雄勝観光物産交流館も併設され、観光拠点となっております。
館内には、最高品質として知られる雄勝石の硯がズラリ。
雄勝石は、別名「玄昌石」と呼ばれており、宮城県石巻市雄勝町産のもを指します。
黒色硬質粘板岩で、圧縮や曲げなどの加工に強い性質、かつ地中での化学的作用、時を経ても変質しない性質が、古くから硯の原料として珍重されていたそう。
その他、時代の生活様式に合わせたテーブルウェアなど生活用品も購入することができます。
また、建材として壁面や屋根を葺く”天然スレート材”としても有名です。
上記は東京駅のホームからのぞく駅舎のドーム部の屋根。
雄勝石は粘板岩特有の薄く板状に割れる性質を持ち、防水性・耐火性・耐候性・耐久性に優れています。
東京駅丸の内駅舎は保存・修復工事が終了しましたが、このような歴史的建造物にも雄勝石の天然スレート材が多用されており、その美しい景観に一役買っています。
さて、8月開催の国際会議で参加者にお渡しする記念品の製作について、今年の年明け早々に、雄勝硯生産販売協同組合さんにご相談、製作物の打ち合わせ後、お引き受けいただいてから、半年以上が経過。
まずは材料の確保、その後、製作が開始され、そろそろ数も揃ってきたとのご連絡を受けて、その作業の様子を撮影させていただくためにお邪魔した次第。
早速、工房を訪うと雄勝硯生産販売協同組合の理事長であり、雄勝石製品の職人でもある沖津さんが作業中でした。
端材を使っていただくので、そこは職人の目分量で石を選び、切断。
一つ一つ、ベルト状の研磨機で表面を滑らかにしていきます。
当てた瞬間に細かい粉が大量に吹き出し、すぐさまダクトの中へ吸い込まれていく様はおもわず見入ってしまいました。
粘板岩の特徴である層状が見て取れる一面は残してもらいますが、底面や手に触れる角は全て丁寧に均一に削っていきます。
ドリルのついた機械に移動。
ペーパーウエイトとペン立てを兼ねた製品になるので、穴をあけます。
最後の工程は、人の手で底面を再び磨き上げて下さいました。
水をかけると・・・冒頭(アイキャッチ)の写真のとおり、顔が映る鏡のような仕上がりになりました。
8月のはじめ、雄勝硯生産販売協同組合から「重いので宅急便で送ります」と連絡があり・・・
(きっと配送業者さん、あまりの重さに”これなんだろ!!?”と思ったに違いない)
無事に、7個の段ボールに詰められた雄勝石のペーパーウエイト(ペン立て機能付き)が届きました。
特徴的な純黒色、世界的に見ても珍しく貴重な雄勝石。
食器の用途ではありませんので、表面に塗料などは使用せず、そのままの質朴で上品な雰囲気を生かしました。
こうして、このプロジェクトの一つ目が終わりました。