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和紙工房に東北大学成田研究室がやってきた~海を渡る?和紙と前掛け~
2022/05/17
桜を急くように暖かな日が続いた後、雨と寒さに見舞われた4月中旬。
松並木に昔ながらの街道筋の面影を残す笹谷街道を進み
目指すは、川崎町の笹谷にある手すき和紙工房”潮紙”!!
東北大学大学院環境科学研究科の「白石和紙・正藍冷染作品 お披露目会」の開催案内のメールに、真っ先に「是非!参加します!」という返信を下さったのは、成田研究室の助教の栗田先生。
伝統技法や伝統工芸に関心があるとのコメント、さらに和紙を基にした新機能素材の研究もされているとのこと。
東北大学 大学院環境科学研究科 先端環境創成学専攻複合材料設計学分野 成田研究室
複合材料・・・調べると「2種以上の材料を組み合わせ成形することにより単独素材ではもちえない性質を発揮しうるようにした材料」とあります。つまり材料の一つは和紙ということで、それに「何か」を組み合わせる。
そうすることで、新しい機能をもつ素材ができるんですね!
さて、そうなると、このプロジェクトには、”好奇心”が不可欠ということ。
和紙職人の塚原英男さんが「超~適任です」とご紹介すると、さっそく、工房へ訪問するための日程調整が行われた次第。
今回は、この訪問にお誘い頂き、一足先に工房へ到着。
いつもながら、趣のあるお洒落な工房。
外壁の杉板は”焼杉板”、炭化させると耐久性が増し、湿気に強く、黒ずみも防ぐ工夫とのこと。
急な寒さ到来で、薪ストーブを焚いてお迎えしようと、準備に追われる塚原さんとお話をしながら、しばし・・・
やがて、成田研の6人の皆さんが到着され、その一団の中、3人も外国人の女の子が!!
スウェーデンの方がお1人、フランスからお2人、うち2人の学生さんは修士課程で現在、交換留学中。
早速、お1人ずつ、どんな研究をされていて、どんな興味・関心でいらしたか、ご紹介がありました。
(ちなみに、フランス人のお1人は画家さん。画材としての和紙を検討したいとのことで、ご一緒されたそう。岩絵具をお使いになると聞きましたが、ヨーロッパの技法と日本の技法の融合にご関心がおありだとか!素敵~)
その後、塚原さんから和紙の原料、加工までについて丁寧な説明がありました。
テーブルで繰り広げられるディスカッションの要所ゝで写真を撮り、すぐさま説明書き、かつヒアリング内容をiPadに書き込んでいく博士課程の菅野さん。
白石市出身(白石和紙の産地)ということで、先日のお披露目会にもお越し下さいました。
ノートを広げてペンを握りしめている私は、菅野さんがIT機器をスマートに使いこなす様子に、思わず見入ってしまいます。
その後、工房の中をご案内いただき、離れ(元馬小屋)の紙漉き場へ。
水ははってませんが、紙を漉く”舟”の前に立って、桁をゆする真似をしながら、繊維が絡みつきながら、和紙が出来上がるまでの工程の説明を受けます。
さて、今回の目的である実験のための試作品作りのお話。
栗田先生曰く、塚原さんの和紙はいわゆる「身元がはっきりと分かるもの(組成が明らか)」これは、研究者にとって、とても得難い素材ということ。
留学生の方、また、日本人の学生さんからも試作品のための和紙の厚さなどリクエストがあり、次々と具体的な話がまとまっていきました。
留学生が日本で、そして、日本人の学生さんもまもなく交換留学で海を渡るとのことで、ここで生まれた和紙がどんな新素材になるのか、研究成果が楽しみですね!!
留学生のお一人が和紙作りについて事前に調べたそうで、その膨大な手間暇に驚いたそうです。
塚原さんが外国人のお客様向けに英訳してもらった「和紙ができるまで」の資料をお渡しすると、「これ、欲しかった!」と、とても喜んでいらっしゃいました。
さて、余談・・・のはずが、後日談になったことが。
とある日、閉店する酒屋さんがノベルティとしてお作りになったという”オリジナル前掛け”がAOBAの事務所へやってきました。
譲り受けて、たまたま車に積んだままだったのを思い出して、スウェーデン人のロビサさんにプレゼントしたら、「なんて書いてあるかわからないけど~」と言いながら大変喜んでいただけたので、記念に写真をパシャリ。
後日、その前掛けを下さった酒屋さん担当の営業の方が、この件を店主さんにお伝えしたところ・・・
なんと、その方のお嬢さんが北欧にお住いとのこと!
ロビサさんを通じて、前掛けがスウェーデンに渡り、北欧のどこかでお嬢さんが偶然に見かけたなら、そりゃあもう、ビックリすることでしょうね。(これ、実現しないかしら?)
そうそう、フランス人のアリアさんにも後日、プレゼントさせてもらいました。
日本の前掛けは、木箱などを運ぶ際に、下半身のケガや汚れを防ぐので、丈夫で機能的。
ガンガン使い込むと体に馴染んでフィットするし、そして何より”粋”になりますよ!