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出羽国庄内藩紀行4~民俗資料にみる庄内の郷土文化~

2022/07/17


致道館から徒歩数分圏内には、博物館が大集結!『致道博物館』

旧庄内藩主酒井家が、郷土の歴史・文化を伝える目的で寄付したという土地に、移築された3棟の重要文化財建造物と国指定名勝庭園等が保存・公開されています。

もちろん、その中に、酒井家が居住した建物や代々伝わる貴重(ホントに貴重!)な品々、庄内の歴史、郷土・民俗文化の資料が多数収蔵されています。


館内案内図、これだけの建物が同じ敷地内に一堂に集まっているのも珍しいかも!


「旧鶴岡警察庁舎(重要文化財)」水色の外観がとても可愛らしい。けど、あまりお世話にはなりたくないところ・・・


こちらは、取調室・・・なんとも物々しく、お代官様がお出ましになりそうな”お白州”の雰囲気が時代を感じます。


急な階段を這うようにあがっていくと・・・


敷地内が一望できます。ここの道路向かいには慶応義塾大学の研究センター。

そして、鶴ケ岡城跡をぐるりと囲むように、鶴岡市役所や市民プール、「鶴岡アートフォーラム」(コレクション持たず企画展が中心。コンサートや映画上映の芸術振興、また、アトリエ開放による市民の創作・発表の場)などがあり、まさに、文化・教育の中心地です。


「旧庄内藩主御隠殿」ここに国の名勝指定庭園があります。

ちなみに、酒井家のご当代は19代目、敷地内に現在もお住いとのこと・・表札見た!


「美術展覧会場」には銘刀の数々。

そして!酒井家の祖、酒井忠次が”長篠の戦”で功を立て、その働きぶりを賞して”織田信長”から拝領したと伝わる皮羽織。(歴女には、たまりませんっ!)


酒井忠次所有の甲冑。朱色と黒がスタイリッシュ、鹿の角を模した兜が目立ちます。
「朱塗黒糸威二枚銅具足」(山形県指定有形文化財)安土桃山時代の作。


「小牧長久手の戦い」豊臣秀吉が天下を取る前に徳川家康に惜敗を喫した戦いですね。大名の家紋が分かると絵図を見るのはとても楽しい!


「田麦俣の民家(重要文化財)」田麦俣地域特有の多層民家。

田麦俣は、室町~江戸時代に湯殿山信仰が高まり、宿場として栄えたとのこと。


とにかく広く、天井も高い!大雪に見舞われる土地柄も相まって造りが堅牢。

土間には厠や馬小屋も開放的に備えてあり、生活との距離が近く、暮らしの密度が濃い印象。


つややかな引き戸、囲炉裏、いかにも頑丈な自在鉤・・・入った瞬間、燻製に似た独特の匂いに思わず「懐かしい!」という言葉が口をついて出ました。


主人の居間や客間など、部屋の用途に合わせた道具の展示法が秀逸、かつ、分かりやすい。


そもそも昔の道具が好きな性質で、機能を突き詰めた道具には”美”と愛着や継承によって醸成された”魂”を感じます。

ここでおのおのだけの役割を持ち、息づく道具達は、民芸運動の父 柳宗悦の言葉「用と美が結ばれるものが工芸である」がぴったり!


藍染めの立派な掻い巻き布団です!

寒く厳しい冬の就寝時、肩まですっぽり被って温かく、機能的。


さぁ、最後は「重要有形民俗文化財収蔵庫」「民具の蔵(江戸時代の創建)」

鋳物、焼物、木工、塗物、農具、漁具、船、着物、織物、商売道具・・・庄内地方の民俗資料館で、ありとあらゆる道具が勢揃い。


時代劇でも観てる気分になる看板の数々。

しかし、さすがにお店の顔、デザインがかっこ良いし、亀の甲羅や漆塗りなど材質も贅を尽くしていますね。


船も丸っと展示されています。定置網漁用、現存する手漕ぎ木造船で最大のもので、全長15m、10人以上が乗船可能。


壁に展示されているのは、”荷物を背負うための背中当て(庄内ではバンドリと呼ぶそう)”

強度を増すために縄や紐を細かく編み込んだ部分に工夫が凝らされており、嫁入り道具として持たせたというものは、親の真心が感じられる、それはもう素敵なデザインに仕上がっています。


上の写真は、酒器や仕事着。

見事な品々ばかりですが、すでに用具として、使う習わしがなくなったものも多いので、バンドリも含めて、8種類、5,000点を超えるものが、重要有形民俗文化財に指定されているそうです。

見応えという点で、数も展示法の素晴らしさも、他に類を見ない致道博物館。

時間はたっぷりとって、お出かけ頂きたい!

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