NEWS 〈 青葉環境保全 〉からお知らせ
現地調査終了!「自然環境調査体験プログラム2022」
2022/07/12
独立行政法人 国立青少年教育振興機構 子どもゆめ基金 子どもゆめ基金
AOBA企画「自然環境調査体験プログラム2022」の1日目 現地調査
7月10日(日)、無事に終了致しました!
前日から天候が一気に回復したため、厳しい暑さとなりましたが、早朝から夕方まで長時間の活動を元気に取り組んでくれた高校生の皆さん、本当にありがとうございました!
今回は募集定員をはるかに超える申込みがあり、許容範囲ギリギリまで受入れさせていただきました。
昨年、実施したプログラムの倍以上の参加者、それは朝のオリエンテーションの際、円陣の大きさからも実感・・・
高校生24名。
多大なご協力をいただいた株式会社エコリスの調査員12名!の皆さま。
高校生が所属する高校から3名の先生、そして見学の保護者の方
スタッフを含めると40名を超す大規模なプログラム1日目となりました。
さて!このブログは、私では知識不足であったり、拾いきれなかったハプニングもあったため、AOBA代表に補足してもらっております!(“JIN”と表記)
午前の現地調査では、河川に仕掛けたトラップの状況見学と回収を全員で見学。
魚類・底生動物班は、慣れない胴長を着用して、河川を進み定置網や延縄の仕掛けの状況を確認します。
他の班の高校生は、河川の上から見学します。
トラップにかかったナマズがトレイに乗って運ばれてきて、見てビックリ!
まだ、お食事の途中だったみたい。。。
JIN:ナマズの口から出ているしっぽ、これはブルーギルです。このブルーギルは当初より延縄にかかっており、「小物しかかかってない~!」とみながっかりしていたのですが・・・
なんと、引き上げる段階になって、大型のナマズがブルーギルに食いついていた!という奇跡が起きたのでした。顛末に一同仰天。まさに弱肉強食の現実がココに!
次は移動して、昆虫のライト&ベイトトラップ、哺乳類のシャーマントラップの回収の様子を間近で見学しました。
JIN:地面のベイトトラップには、前回と異なり、前日雨天でも大型のオサムシなど地上徘徊性の昆虫がそこそこ入り、夏を実感しました。
2カ所に設置したセンサーカメラには、小動物の姿も数種、画面で確認することができました。
そして、シャーマントラップの成果として今年は、ネズミが2種類で合計3匹、元気で愛くるしい姿を見せてくれました。
透明な箱に入れられて元気に動き回る様子に歓声があがり、すかさず写真や動画を撮る高校生。
トラップ回収作業といった全員での見学が終わったところで、配布したバインダーにセットされた「植生図」についての説明が始まります。
これから調査に向かう土地の、地形や植生を読み解くための大事なレクチャー。
JIN:「現場の自然を図面へ落とす」感覚、なかなか味わえるものではありません。いや、普通に生きていたら、ないです(笑)みんな、どれだけ実感をもって聞いていたのか気になるところであります!
そして!!各専門班「植物/鳥/魚・底生動物/両生類・爬虫類・哺乳類/昆虫」の5班に分かれて、活動スタートです。
まずは、基本の「野帳」の使い方。
鳥班は、スコープが各人に渡されます。
これから、広域に点在する観察スポットに向けて出発する鳥班。
移動距離は一番長いので、ベース基地に戻ってきた時は、皆さん、顔が真っ赤に。
他の班も、次々と装備が進められていきます。
ベース基地近くでは、早速、両・爬・ほ班と魚類・底生動物班の合同作業。
山から湧き出る細流に設けられた “桝” を、ざぶざぶと網でさらい、捕獲物を確認していました。
植物班は、針葉樹林、広葉樹林、乾性草地、湿性草地まで環境の異なる区域を認識しながら、植生を確認していきます。
哺乳類は残りのトラップにネズミがいたようで、詳細に観察をしていました。
カナヘビもいました!
肩に這い上がってきた様子を「映える~」と写真を撮りながら、楽しそうな声が聞こえてきました。
お昼頃、各班が三々五々、ベース基地へ帰着。
しばし休憩タイム。
JIN:短時間ながら、狙ってこのような天候と時間帯で特定のフィールドをまわることはあまりないという意味で、なかなかレアな条件下でのフィールド観察だったと思います。
昆虫班、ベースへの帰還はラストでした。炎天下の中、みなさん頑張りました!
その後、貸し切りバスで株式会社エコリスへ移動。
(今年のバス運行は株式会社公害処理センター様から協賛をいただきました)
みんな汗だくだったので着替えて昼食を取った後は、同定作業、確認種の結果をリストにまとめる作業です。
植物班は、指標となる種を採取してきて、図鑑で調べながら同定していきます。
同時に数限りなくある植物の種ごとの特性や生育環境、そして、生き延びるための進化の過程も教えてもらいました。
こちら、種類の多さ・分類の複雑さでは植物に負けない昆虫類。
この時期、昆虫は活発に活動しており、多くの種が確認できました。
生態についてもまだまだ謎だらけの世界だと聞きました。
同定では、正解を求めて一生懸命、図鑑と睨めっこしますが、一見、似ているようで、全く別だったり・・・
「粉の飲み薬」みたいに透ける薄紙に包まれた実際の生体と、図鑑の写真とを見比べる高校生に「まず、自分の目で実物をよーく見て!」と檄が飛ばされていました。
JIN:検索表の活用や、目次・グループ分けといったレイアウトから全体像を把握する感覚など、普段、図鑑に触れていない人にはむずかしかった模様。
図鑑の「見方」も勉強ですね!
こちらは魚類・底生動物班。生体標本を作り、測定作業と食性などの説明を受けて野帳の完成を目指しています。
JIN:オイカワのペア。この炎天下のなか生体の状態を落とすことなく運べるプロの技術力。みなそのすごさが分かってなかったけれども、やってみればその困難さが分かるというもの。経験がなせる技ですね。自分はココに感動。エアコンの効いた快適な部屋でじっくり獲物の観察ができるなんて、なんて贅沢!
底生動物編では、生物が入った6枚のトレイから好きなものを選び、顕微鏡を使って観察しました。
(実は・・・各トレイには、“激ムズ” レベルの1種が紛れ込んでおり、同定に苦労していた模様)
こちらは衝撃かも・・・ひとしきり同定作業と確認が終わった終盤、登場したのは小動物の”フン”
水で攪拌した後、トレイに移して広げ、何を食べているのか?を確認中。
最初は “引き気味” だったけど、その内、慣れてくるもので、真剣に観察して予想を口にしていました。
ということで・・・
盛沢山なスケジュールを大きな事故もなく、終えることが出来ました!
エコリスの皆さまには、前日のトラップ作業、装備品の貸出し、調査活動でのご指導、その上、同定作業だけに留まらず、学びのために色んな工夫を凝らしていただき、本当にありがとうございました!
1日目の現地調査と同定作業では、高校生の上気した表情、そして、様々な “眼” を見ることが出来ました。
“獲物を見つけようとする眼”、“不思議そうに見つめる眼”、“分かった時にキラキラと輝く眼”、“かわいらしい生物の様子を愛でる眼”
生き物を見つけること、見ること、触れること、何者かが分かること。
生き物に出会うためには、実にたくさんの知識が必要であること。
たくさんのプロセスがあることに気づいたのではないでしょうか?
それでは、次のステップです!
7月23日(土)東北大学青葉山キャンパス 環境科学研究科で開催するワークショップまで、学んだことを反芻しつつ、宿題に取り組んでいただきます。
きっと新しい視点を得る、楽しい時間が待っています!!