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日・中・韓大学院生による「RESDプログラム」 in 山形県朝日町

2023/08/26

コロナ禍から急速に海外との往来が回復したことを感じる昨今

東北大学が参画・実施する大学院生向けの「環境に関わる認証制度(RESD: Regional Environmental Sustainable Development)」プログラムが満を持して再開となりました。

これは、日本,中国,韓国の著名大学の優秀な博士学生に対して実施するプログラムで、参加学生は、3か国を移動しながら、各地の大学で用意した特別講義や関連する地域や施設などを巡ります。

さて、日本の受け入れ大学の一つである東北大学の大学院環境科学研究科の2日間。

終日講義があった翌日は、エクスカーションとして、環境資源、地域資源、文化や歴史などをエコミュージアム構想に則り、訪れる人々に発信する取り組みを盛んに行っている山形県朝日町へのツアーを実施することになり、その企画、現地とのコーディネートをさせていただきました。

3か国の大学で学ぶ学生は、出身の国も多種多様(中国、韓国、スリランカ、モンゴル、日本)で、今夏は9名の学生が参加されました。

仙台市内で一行を乗せたバスは滞りなく、朝日町へ到着、はじめの見学先である「創游館」へ。


朝日町では、NPO法人朝日町エコミュージアム協会の皆さん(理事長の長岡信悦さん、佐藤恒平さん)が受け入れて下さりました。

朝日町は、日本初の「エコミュージアム※エコロジー&ミュージアムをくっつけた造語」の認定地域。

エコミュージアム構想とは、収蔵品などを展示する博物館ではなく、地域全体が博物館であり、地域住民が学芸員という考え方でもって、来訪者を案内するため、住民の方が自己研鑽を行い知識を身につけることが、すなわち地域の歴史や文化、資源を次世代に継承していくことへと繋がります。


このプログラムで使用される言語は「英語」のみ・・・

通訳のための同行を引き受けて下さった東北大学名誉教授の葛西先生には、事前の下見にお出かけいただき、見学先の概要(英文)をまとめていただきました。

当日は、案内の方の補足説明や質問も逐次通訳のため、学生の理解を確認しながら、ゆっくりと進めていきます。


続いて、世界で唯一、空気を祀る「空気神社」へ。

到着すると朝日町地域おこし協力隊インバウンド推進員のリンさんが駆けつけてくれました。


この日、猛暑で知られる山形県の気温は37℃・・・

緑陰に救われつつ、5分ほど林の中の道を歩く間、万物を形成する5つの元素「水・火・木・金・土」を意味する”マニ車”(1回転させるとお経を1回読んだことになる)、「水」は手水がわりにあったりして・・・


抜けるような盛夏の青空、濃緑の広葉樹林が映り込む環境モニュメント、その周りを大きなカラスアゲハが終始飛んでいて、美しい光景。

空気神社の参拝方法をみんなで習い、その後、空気に感謝するお参りを済ませました。

夜の幻想的なライトアップの様子、過去のイベントの写真を見せてもらうと歓声がおこり、ここが、とてつもない”映えスポット”だと気がついた皆さん。


すぐに撮影大会と相成りました。

このプログラムは、もう、2か国目となり、ずっと一緒だった皆さんはとても親交が深まっていて、ポーズを決めたり、笑顔で写真を収めていました。


空気神社のすぐそばにある「Asahi自然観」は、山々に囲まれた宿泊施設でスキー場、コテージなどもあります。

玄関先には、”ミストシャワー”と湧き水を引いた”冷やし足湯(湯?)”という、夏場、何よりの涼のおもてなしで歓迎されました。


こちらは昼食会場で、特別にお願いしたランチを提供いただきました。

菊の酢の物、ダシ、麦そば、玉こんにゃくにアケビの皮の天ぷらなど、山形の地物、名物オールスターが勢揃してるっ、と感激しまくり。

おまけに、お米は、今日の見学先にもある棚田産、本当に美味しくいただきました!!


山岳部から市街地のオーストリッチ展示圃へ。

ハーレムを形成するダチョウの雄は現在、隔離されているものの、雌達に近づく一団へ威嚇を始めます。


世界的な食肉の危機、また、地域の高齢化による耕作放棄地の活用など、ダチョウの飼育産業に関する説明を受けた後、「キラキラ光るものに反応するから気をつけて!」と注意されながらも、意外に近づけるダチョウとのツーショット写真に挑む皆さん。


日本の棚田百選にも選定されている「椹平(くぬぎだいら)の棚田」へ。

戦時中の食糧難、学徒動員の歴史的背景や水田への引水の工夫。

最近では、観光資源としての保全からはじまった農業体験も含めたボランティア制度のお話しなどをお聞きしました。


最後の見学先は、「朝日ワイン城」


低価格帯にも関わらず品質の高い日本のワインとして、G7伊勢志摩サミットで各国首脳陣に供されたことで、朝日町ワインはその名を知られることとなりました。


樽はフランス産の樫(オーク)を採用しており、木材の産地によっても風味が変わるそう。

品質の安定のため、試行錯誤の上、ベストな地域が定まり、今に至るそうです。

ここでは、基本的な赤・白ワインの製造方法の違い、発酵・熟成のプロセスなどの説明を受けました。


朝日町は、磐梯朝日国立公園が町の面積の3分の2を占めています。

棚田で少し登った見晴らしスポットから、なだらかで雄大な月山、朝日連峰の最高峰である大朝日岳まで、ぐるりと望め、目線を落とせば日本の原風景が広がっていました。

厳しい暑さの夏、そして、2mの積雪に見舞われる冬、それゆえに山々から豊富な水、作物の実りという恩恵を受けながら、人々は豊かな自然の中で暮らしています。

バスの移動中には、収穫を待つ田んぼやリンゴ畑が続く風景の中、突如、最上川が蛇行する姿が現れるとレンズを向ける皆さん。

これから、世界の第一線で環境問題の解決に取り組む皆さんに、守るべき自然環境と暮らしの風景として、日本の思い出の一つとして胸に刻まれたら、この上なく嬉しく思います。

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