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宮城県高等学校理科研究会生物部会「教材生物ワークショップ」inみちのく公園

2023/10/15


いつもは高校生等と専門家(先生)とが”現場”で一緒に活動して、学ぶための場づくりをしているAOBAですが・・・

今日は、”みちのく公園里山地区”に現役の”高校の先生”にお集まりいただき、日々、自然生物を調査する専門家の方と一緒に調査方法を学ぶ研修会が開催されます。

なんとも不思議な気分です。

高校生対象の「自然環境調査体験プログラム」をスタートした3年前から、お付き合いのある先生に、是非、教員向けに研修会を企画・実施してほしい!とお話しをいただいてから2年、、、

春から講師の方、会場のみちのく公園さん、研修会開催事務局の先生方とお打ち合わせを重ね、夏に下見を行い、先生方に募集をかけて。。。万事整い開催の運びとなった次第。


「宮城県高等学校理科研究会生物部会」は、その名の通り、高校の先生達が所属され、情報共有や自己研鑽を行うための研修会などを開催する取り組みをおこなっているとのこと。

特に生物部会は活動が盛んで、毎年、様々なテーマで講師をお招きし、研修会を行っておられるそうで、研修会開催は、今回で61回目!!


オリエンテーションでは、まず、部会長でいらっしゃる泉高等学校長の菅原先生からご挨拶がありました。


今回の講師(生物の専門家)は、全国の生物調査会社が組織する団体 NPO法人野生生物調査協会に関係する2社、株式会社エコリス株式会社地域環境計画から10名もの方がお越し下さいました。

2社ともにAOBAがいつも大変お世話になっている会社さんで、個人的に”夢の共演”が叶ったというか・・・専門家の皆さんも「オールスター」級で、とても嬉しく思いました。


研修会参加の24名(プラス事務局)の先生方には、事前に希望を取り、①植物、②鳥、③両生類・哺乳類・爬虫類、④昆虫の4つの項目で、班分けをしてもらいました。

朝から強風が心配でしたが、文句なしの晴天!

各項目班に分かれてフィールドワークへ出発します。


みちのく公園里山地区の小野分校からほどなく見晴らしの良い地点。

早速、鳥班が観察やカメラ撮影に使用する「望遠鏡」や手元で扱う「スコープ」についてレクチャー。


鳥班は、地域環境計画から猛禽類講座で講師を勤めていただいた東北支社長の嘉藤さんと浅尾さんが講師役をご担当下さいました。


鳥がご専門である地域環境計画の高塚社長が東京からお越しになり、サポートして下さいました。


その後、鳥班は里山地区から200段を超える階段を下りて北川へかかる橋へ移動。

折よく、空にはノスリが旋回したり、水辺にセグロセキレイの姿が見えると口々に「かわいい!!」と声があがりました。


こちらは植物班、エコリスの吉田さん、本間さんが講師を担当されました。



里山環境下の植生の特徴、森林の保全、指標的な植物について説明をしながら移動していきます。


両生類・哺乳類・爬虫類班は、エコリスから藤岡社長と菊池さんが講師役です。


草地にモグラの穴、木道の下のぬかるみにはキツネの足跡を見つけて、よく似ているタヌキの足跡との見分け方を図解していただいたり。。。


さすがに生物の先生!カナヘビやドジョウ、カエル等を次々と見つけては捕まえて全員で同定の説明を受けました。

菊地さんがぶら下げてきたのはロープかと思いきや、1m程の体長があるシマヘビ!

特徴の赤い目や何とも言い表せないツルツルとした、しなやかな筋肉質の手触りも確認しました。


シャーマントラップの設置地点。

残念ながら捕獲まで至りませんでしたが。。。

過去の調査におけるエピソードやクルミを拾いリスとネズミの食痕違い等、皆さん、興味深く聞き入っていらっしゃいました。


昆虫班の指導担当は、地域環境計画の上森さん、岡島さん。

ライトトラップとベイトトラップ地点で、設置状況や採集状況を確認します。


日だまりのなかに、可憐なモンキチョウの姿。

10月に入ると昆虫はめっきり姿を見かけなくなります。

昆虫採集のための道具や採集法を解説しながら、観察していきます。


ビーティングと呼ばれる採集法。

Beating、つまり打つこと、たたいて、木の枝葉や草を食べる昆虫類や、隠れている昆虫類を布へと落として、捕らえます。


蝶やトンボなどを折りたたんで包む”三角紙”も必須アイテムですね。

首から下がっている透明な管は、昆虫採集の時に使う“吸虫管”。

ピンセットが使えない程の小さな昆虫を、ガラス管の吸い口から吸い込み捕まえる道具です。


午前のフィールドワークは予定より30分遅れて終了。

(正直、楽しすぎて、、、無線で各班に進行状況確認をしたら全班から「押してます!」との応答)

さて、昼食後のレクチャーです。

前半はエコリスの佐竹会長から、調査協会との役割、自然環境調査のお仕事や事業体制、調査活動の結果とレッドリストとの関係などのご説明がありました。


合間に投影した前日に仕掛けた自動撮影カメラの画像、ふさふさとしたしっぽのキツネの姿が!

冬を控えた時期特有の丸々と肉付きの良い、元気そうな姿に会場が和みます。

上の写真は、みちのく公園内に設置しているカメラ画像を拝借。

これはタヌキですが、他にハクビシンやイノシシ、テンの姿も確認できました。


後半は、生物多様性や生態系サービス、環境アセスメントについて、エコリスの藤岡社長にレクチャーをいただきました。

こうして、短い時間ではありましたが、研修会プログラムが無事に終了。

私自身が一貫してフィールドワークに同行したのは初めてで、驚きと楽しさでいっぱいでしたが、それにも増して先生方の楽しそうな様子に感じ入りました。

その後、参加者アンケート等での感想を送っていただき

・専門家の方が、次々と生物を見つけては種を同定しその生物の知識を述べていく様子に驚愕いたしました。

・楽しすぎて1回で終わってしまうのは残念!次は違う班で参加したい。またフィールドワークを企画して欲しい。

・先生だけではもったいない。今日の情報を生徒に還元する+このような企画に参加させたい!

等々、嬉しい感想がたくさん寄せられたとのこと。

研修会の締めくくりに開催事務局の先生がお話された「我々が”いきもの屋”であることを思い出しました」というコメントが強く心に残りました。

 

今年の自然環境調査体験プログラムは、開催3回目の6月の高校生向けプログラム(名取市)からはじまり

新しいフィールドとしてご縁をいただいた「みちのく公園」で、9月の小学生(未就学児)親子いきもの観察キャンプイベント、今回の10月の高校教員の研修会まで、まさに対象者に”多様性”のある一年となりました。

まもなく冬季、”いきもの”関連の事業は、来年まで一旦停止となります。

それにしても・・・特に昨年から、動植物を通じて自然環境の変異、地球温暖化の影響を我が身に感じることが多くなりました。

豊かな自然環境下に野生の”いきもの”に出会いに行く機会を、今後、永続的に創出していけるのか?と不安がよぎることもあります。

環境負荷低減、環境保全に関して、世界で、各国で、地方自治体で、そして、個人レベルの多角的なフェーズから、早急な対応が求められています。

年明け早々に事業計画を始めるわけですが、これからの活動では、その点も”実に沿って”伝えていこうと思います。

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