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『東北工芸ことはじめ』~“わし”をつくる、“わし”でつくる~

2019/10/17

和紙「を」作る、和紙「で」作る = “自分ですいた和紙で、オリジナルのブックカバーをつくろう!”

そんな素敵な誘い文句で、

仙台在住、子育て中のお父さん&お母さん達と伝統工芸の職人さん、色々なジャンルのデザイナーさん達がタッグを組んだ『東北工芸ことはじめ』の初企画ワークショップが始まりました。

東北工芸ことはじめ

“仙台市は近代工芸発祥の地でもあります.そんな仙台に,地域の工芸に触れる機会や暮らしを楽しむアイデアをシェアできる場を作ります.Cotohajime の工芸体験にご期待下さい.”

ホームページにある、このメッセージそのままに・・・

全2回ワークショップの第一弾“和紙づくり”が、先日、川崎町笹谷の「手すき和紙工房 潮紙(うしおがみ)」で開催され、その現場にお邪魔して参りました。

 

当日は年長さん~小学校6年生くらいまでのお子さんを連れたご家族が現地に集合。
開始前に主催者を代表して早川欣哉さんからご挨拶です。
「和紙を漉く(すく)こと、ブックカバーを作ることは、それぞれ機会はあるとおもうけど、ホンモノのやり方で和紙を漉いてブックカバーを作ることは”世界初”かもしれない!」と。

その通りかも!

世の中には、再生紙の勉強のために牛乳パックを材料にした紙漉き、とか、道具や材料を子供向けにアレンジした体験企画はたくさんあります。

しかし、今回は・・・

現役の和紙漉き職人さんが、自身の工房で、普段使っている道具で、職人さんが自分で育てた原料を分けてもらって漉き方を教えてくれる!

という幾重もの“ホンモノ”づくし。

これは、本当に夢みたいにすごいこと。

“ホンモノの体験へのこだわり”は早川さんはじめメンバーの揺るがない想いなのかな、と感じます。

さて、ご挨拶に続いて講師の潮紙(うしおがみ)代表の塚原英男さんが、和紙の歴史や私たちが普段使っている紙(そのほとんどが洋紙)との違いを教えて下さいました。

 
日本の和紙は事実、1,000年以上、損なうことなく後世に文字と歴史を伝えています。

「その和紙と同じ作り方で今回作る和紙(いずれはブックカバー)は、1000年は残せるものということです」という言葉に・・・「もう、この世にはいない」という声は聞こえたものの、参加者の表情は輝いていきます。
木の枝にしか見えないけれど・・・
和紙の原料となる「コウゾ」という植物、そして、繊維をくっつける「トロロアオイ」という植物のお話をお聞きしました。
そして、「今日みんなが作る和紙です」と渡された見本の和紙。
A3判より大きいかな。そして丈夫。

これを自分の手で作る!!

まずは“漉く”前の準備です。

レシピは、「コウゾの繊維」「冷たい水」「トロロアオイ」・・・以上。
人工的な混ぜ物が一切ない。これが本来の和紙、なんですね。と、言うのは簡単ですが・・・後は漉くだけ!という状態になるまで、どれだけ大変かってことです。

コウゾを育てて、刈り取って、蒸かして、皮剥いて、煮て、塵(ゴミ)とって、ほぐして・・・工程をあげたら気が遠くなりそう。

 
水が入った”舟”。

「冷た~い」といいながらコウゾの繊維を水にほぐして入れる。
「トロロアオイ」の根から抽出した”ネリ”
これが天然の接着剤の役目となる。
ただし、熱に弱いため、キンと冷えた水が必要。

 
最初は遠慮がちだったけれど・・・

「もっとよく混ぜないと紙が出来ないよ!」

と檄が飛ぶと、いきおい本気を出す子供たち。
まずは、塚原さんがお手本で漉いてみせます。いざ、紙漉きの場面。
塚原さんの動きを合わせて、イメージトレーニングしている子も
自分の番まで、期待いっぱい、ドキドキしているのが伝わる子供たちの顔が印象的。塚原さんに和紙漉き道具の「桁」を支えてもらっているものの、水をすくうと重そうです。

緊張で体がコチコチだけど、みんな真剣そのもの。
そんな中、塚原さんが作詞?した「紙漉きうた」が登場。

♬すこーし汲んで、すこーし汲んで、いっぱい汲んでタテ、タテ、タテ・・・♪
部屋の中は「紙漉きうた」の合唱です。

 
ちなみにこの方法は“流し漉き”と呼ばれるものです。横と縦に揺らす(×3回)のは、ブックカバー用に耐久性を上げるためで繊維をより強固に絡みつかせるのですね。
「桁」から外したら、紙が載っている「簾」を頭上を通して回れ右。そして、後ろの水切り台へ。
ほんの数分前までドロッとした液体だったのに・・・
「簾」を垂直にしても、もう”紙”は崩れない。ホントに和紙って不思議です。

 
今日は20人近く和紙を漉いていますので、自分の名前を入れます。1人、2枚づつ紙漉きをしました。
どの子も、親御さんも真剣で、でも楽しそうで。
きっと、自分の番はアッという間に感じたと思います。

和紙漉き以外の時間を使って、工房裏の「コウゾ」と「トロロアオイ」の畑も見学しました。

 
和紙作りに不可欠な水は、塚原さんが「惚れ込んだ」という、ここ川崎町の水を使用しています。

 
寒さ厳しいこの地でも凍ることがないという峻烈に満々と流れる“屋内水路”も見学しました。
水道の出しっぱなしではありません。シンクの直下の水路から汲み上げています。

有難い大自然の恵みです。
大きなサイズの和紙を漉く場所も見せてもらいました。こちらは「桁」を持っているだけでも大変そう。
紙漉き職人さんは技術と根気と体力が必要。
自分が体験した後は、なおさら尊敬の眼差しが注がれます。

 

さて、連続ワークショップの第2弾は、”和紙「で」作る”です。

乾燥して完成となる自分の漉いた和紙で次回はブックカバーを作ります。

参加者の皆さん、どんなにワクワクしていることでしょう。

舞台は仙台市太白区長町の「道中庵(どうちゅうあん)ユースホステル」へ!!

 

 

 

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