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みやぎZEB研究会・みやぎ地中熱利用研究会「令和4年度 現地見学会」~東北ボーリング株式会社~

2022/12/11


『みやぎZEB研究会』は、東北大学のエネルギー価値学創生研究推進拠点長が主宰となり、東北6県に所在する企業、学術機関を会員として、令和2年に発足しました。

発足後、コロナで落ち着くことのなかった2年間。

しかし、今年は屋外の時間が多い「現地見学会」を企画して、会員やオブザーバー、国や自治体の皆さまにご参加いただき、10月に宮城県と11月に山形県で開催いたしました。

1回目の現地見学会は、東北ボーリング株式会社が見学先として受け入れて下さいました。

AOBAのブログでも度々、ご紹介させていただいておりますが、建設資材や竣工後のエネルギーまで関わる全てを”地産地消”、カーボンニュートラルへの挑戦としてZEB設計の新社屋を、今まさに建設中。

見学会は、レクチャー会場と建設地の2か所で行い、40名の皆さまがお集まりになりました。


開会挨拶は東北大学の土屋範芳先生。

それまでエネルギーを享受するだけだった我々が、東日本大震災により大きな転機を迎えたことからはじまり、地球規模の環境問題、世界の人口問題、国内では地域による格差等が顕著である社会問題。

それらに対して、大学は分野ごとの研究や技術開発にとどまらず、多分野の融合研究により社会実装を進めることで、エネルギーの新しい価値を生み出し、課題の最適解へ導いていくことを目指しているというお話がありました。


続く、東北ボーリング株式会社の代表取締役の熊谷茂一様のご挨拶では

今回の新社屋建設プロジェクトは資金面、実現に向けた様々な社員の労力等の負荷は決して小さいものではないが、中小企業のひとつが先陣を切ることによって、自分たちも挑戦してみよう、と他の企業が続いてもらいたい。

カーボンニュートラルの達成に向けて、(1企業という)点から線へ、そして面となって社会全体が舵を切ることへの期待が語られました。


そして、事業企画部長の菊地真様から、このプロジェクトの全体像やコンセプトである「震災復興と地球温暖化対策へのチャレンジ」の内容について説明がありました。

”東北ボーリングの新社屋は、今全世界が取り組むべきカーボンニュートラル及びSDGsに、地域企業としても果敢に挑む姿勢のシンボルとする”

具体的なアクションについては、写真とともに順を追って記載してまいります。

さて、レクチャーが終わると建設予定地へ移動を開始しました。お天気に恵まれて良かった!


<『ZEB 』 (パーフェクトZEB)によるエネルギーの地産地消>
・木造建築のZEBによるカーボンニュートラルの実現を図る
・地中熱技術、特に仙台平野の地下水ポテンシャルを有効利用することで、地域の可能性を実証する
・クローズドループとオープンループ(地下水熱利用)併用の冷暖房システムの導入

上記、達成のために自社に井戸工事の技術と長年の実績を持つ東北ボーリング株式会社(発注者)の他、ZEBに関する知見・技術・経験豊富な、設計、機械・電気設備工事、そして、地中熱設備の会社が名を連ねておられます。(上、写真。工事看板)

地中熱利用システムに関しては、今後、導入推進に向けて、緻密なデータを取りながら、その効果と汎用的利用価値についての検証が大いに期待されることでしょう!


上の写真は、今年5月に建設地を訪れた時のもの。まだ、ボーリング機械だけが稼働している空き地でした。


それから5か月が経ち、いよいよ社屋の全体像を目にすることができるように。


<宮城県産木材やCLT材を用いた木造建築>
・木造建築による二酸化炭素の固定
・地域貢献としての地産地消
・(被災地でもある)地元、石巻市の木材の有効活用を図る
・植樹による森林サイクルの維持に貢献する

建築工事を請け負っておられる株式会社サンホーム様から木造建築としての工法の特徴や工夫について、説明がありました。


「木のぬくもりを感じて心を癒すことで、社員のウェルビーイングを目指す」と説明がありましたが、木のなんとも良い香りが漂う建屋内。

外壁、内壁とも無垢材を多用するため、完成時も、この”木の温もり”のメージは変わらないそう。


上の写真は、建材として見ているものが伐採される前の姿、”立木”見学会でのショット。

下の写真は、製材・加工の様子を見学した時の様子。

アクションプランとして挙がっていた以下の取り組みの一つ。

「杉山の荒廃により里山の景観が失われることに加えて、害獣被害や斜面崩壊などの土砂災害が頻発しているこれらの諸問題に関心を持つことで、企業として持続可能性社会について考えるきっかけとする。」

”社員教育”のため「立木・伐採・製材・植樹」の見学・実施という一連の活動です。

昨年、はじめて、この計画をお聞きした時は、個人的に深い共感と感激の気持ちが沸き立ったことを思い出します。

その後、すべての活動に同行の機会を与えていただき、私自身も体験・実感することの大切さを学びました。


太陽光パネルが設置される屋上に登ると新しく整理された道路、海まで抜けた平野に田畑が広がっています。

<復興事業(海岸堤防、かさ上げ道路)により対策が図られた地域での建設>
これは、復興事業の成果を伝承するという役割を担うことを意味しています。


また、「新社屋を通じた、木育を実践」としての取り組みとして、地元の大学生、工業高校の建築学科の学生さんの見学も受け入れていくとのこと。

実は、この日も東北大学の学生お2人が参加されており、彼らは、建築学・CLT材の研究室に所属されているとのことで、屋上の耐水性について、熱心に質問されていました。

そして、建設地周辺地域への貢献事業として、以下が挙げられました。

<防災拠点としての役割・民間防災拠点施設としての機能>
・新工業団地および近隣住民の防災拠点
・木造の強靭性による避難空間の確保
・ライフライン遮断の影響を受けない(災害応急用井戸設置)

避難所として機能するために必要なエネルギーや水が確保されることに加えて・・・

普段は木製のベンチ、非常時には組み立てるとパーティション(間仕切り)として使える備品の設置を予定しているとのことです。


見学会も終盤となり、新社屋の建築模型を拝見しつつ、いよいよ完成、竣工の時が待たれます!

その時には、是非、お邪魔させていただき、外から中から、そして、社員の皆さんの様子も合わせて、どんな景色が見えるのか、楽しみにしております!!

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