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復興大学「現地実習」~荒浜・閖上編~【その2】

2019/10/30

復興大学の「現場実習」~荒浜・閖上編~の続き。

荒井駅を出ると、車窓からは開通をひかえた道路、嵩上げ(かさあげ)工事の様子など、移り変わる景色が次々と飛び込んできます。

程なく「かわまちてらす閖上」へ到着。

今年4月にオープンした「かわまちてらす閖上」は、名取川が海へそそぐひろやかな河川区域にできた、新しい“閖上の顔”です。

 

あらたな交流や憩いを創るため、”あんどん松”をイメージしたという和モダンな色調で統一された建物に、飲食店が軒を連ねます。

午後のレクチャー前。ここで昼食と散策の時間が設けられました。



震災前から「はらこめし」や赤貝を代表とする海の幸を提供してきた閖上の海。

人気の飲食店さんから出店を希望する声があがり、復興計画では広い側帯を設置するなど、にぎわい拠点づくりが計画されます。

お店の中からは遮るものがなく、目のまん前に名取川を臨むことができます。

 

さて昼食後、名取市閖上公民館において、地域再生への道のりと将来に向けたまちづくりプランをお話頂きました。

閖上地区では平成26年に“かわまちづくり計画”(pdf)が打ち出されました。

これにもとづき、他の被災地域の多くが“集団移転”を進める中、閖上地区の復興計画では「現地再建」という選択肢が選ばれました。

地元事業者、応援者による㈱かわまちてらす閖上(閖上地区まちづくり会社)も設立。

各省庁から様々な復興事業が注がれる中、地域経済活性化のための商業・観光はもちろん、公営住宅や公共施設、教育施設も整え、来年には震災復興を伝えることと防災機能向上につながる施設もオープン予定とのこと。

お話の中特に楽しみ思ったことは、現在社会実験中という「広浦湾舟運事業」

“かわまちづくり”により整備される『船着き場』を活用して、仙台国際空港まで”水上ルート”で結ぶことも検討していくとのこと。

閖上の地理的環境、貞山堀(運河)の歴史など地域資源が輝きだすステキな構想!

今から、本格稼働が待ち遠しいです。

 

閖上を後にして、仙台市立荒浜小学校へ。

震災時、児童、教職員、住民の方320人が屋上へ避難し、その命を救った小学校として“震災遺構”になりました。

校舎に近づくと海岸から700mという近さを実感します。

校舎には痛々しく感じるほど爪痕が残っており、津波の脅威をまざまざと語りかけてきます。

ここでも“語り部”さんにご案内頂きました。

 

 

 

 

階、そして2階まで浸水したフロアでは被災直後の様子が分かります。

浸水を免れた4階フロアの教室が展示室となっております。

 

 

 

 

屋上からのヘリコプター救助活動も含め、避難者全員の救出に要した27時間をインタビューなどで綴った映像の視聴もしました。

 

 

 

神戸大学さんが作製した震災前の荒浜地区ジオラマ。
平面地図から起き上がった家々には、地元にお住まいだった方々の記憶をもとに、「○○さんの家」など情報が書き込まれています。

中には「○○さんのクルーザー」とか・・・住民のみなさんの距離の近さを感じます。



 

荒浜小学校では、地域の歴史や文化の他に“学校”が受けた傷、救助に至るまで避難所として果たした役割などを通じて、訪れた人々に“災害への備え”がいかに大切かを考える場となっています。

 

最後に。

今夏新聞記事に、震災以降に生まれた子供たちに対する防災教育についての一考が掲載されていました。

8年が経ち、震災を知らない子供たちが就学を迎えるという時期に差しかかっているという事実。

地元では個別配慮のため、震災の記録に触れる機会に対して少し消極的な傾向があることへの懸念が述べられていました。

そして、仙台市と宮城教育大学 防災教育研修機構との連携で作成された指導用の手引書が市内の小中学校に配布されたとありました。

「荒浜小学校を活用した防災教育の手引書」

地元こそ、防災教育の空白期間を作ってはならない」という言葉が響きました。

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