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こころのふるさと遠野【その2】~遠野郷八幡宮 ホップ和紙御朱印~

2020/08/23

こちらは『遠野郷八幡宮』の御朱印。リズミカルで美しい書体。

真ん中に配されている獅子頭が遠野物語110話の”ゴンゲンサマ”


 

 

 

 

 

 

 

 

さて、私が目にしたかった御朱印は・・・

正確に言うと数量限定のため、頒布日が月に一度だけの『ホップ和紙御朱印』

今回は頒布日ではなかったので、残念ながら手にすることはできませんでしたが、お願いして実物を見せていただきました。

季節の草花の色を抽出して色和紙にしたり、母の日のカーネーション、紫陽花、向日葵など季節の花々や風物詩が写されたデザインも人気の秘密。

下の写真がホップ和紙御朱印(遠野郷八幡宮HPより)で、8月頒布分は”花火”のデザインと色合いが可愛いらしい。


 

 

 

 

 

 

 

 

この ホップ和紙御朱印 は2019年に登場。

その名の通り、ビールの原料 ”ホップ” の蔓から漉かれている。

遠野市はホップの一大産地で、大手ビールメーカーでは遠野ホップの期間限定ビールを発売している。

ホップは蔓(つる)性の植物で7~10メートルほどに育ち、ビール特有の苦みや香り・泡を左右するのは、雌株の松かさに似た緑色の「毬花(まりはな)」と呼ばれるもの。

つまり、毬花を収穫後、何メートルも伸びた蔓は廃棄物となってしまう。

廃棄量は年間200トン。

一部堆肥化するものの、放置しておくと害虫がつくため、その多くは有料で焼却処分しなければならない・・・


 

 

 

 

 

 

 

ならば、廃棄されるホップの蔓(未利用資源)を活用しよう!

と「ホップ和紙の開発」に乗り出したのが、地元の岩手県遠野緑峰高等学校の草花研究班。

2009年に研究を開始。原料繊維の抽出、紙漉き・成形技術の取得等で約4年、その後も試行錯誤の日々・・・。

並行して和紙作りによる環境負荷をなくすための研究も重ね、2018年、漂白剤を使わずに和紙を白く漉き上げる技術を確立するに至ります。

この頃になると、遠野緑峰高校「ホップ和紙開発プロジェクト」は環境問題を解決する取り組みとして、省庁や環境財団の顕彰事業で最高位の賞を次々受賞するという快進撃を見せてくれた。

そして、ホップ農家は高所作業が伴うため高齢化による離農や後継者不足、収益減傾向も頭の痛い問題となっていた。

このプロジェクトでは、”遠野独自の和紙文化を生む”ことで、ホップ農家の六次産業化創出も狙いとしている。

その頃、私は和紙産地の現状を調査するプロジェクトに関わっており、”新しい和紙文化を目指す地域”として、お話を伺いに訪れたことがある。

「子供たちの頑張りを”よそ様”がこんなに褒めて下さっているのに、私たちが何もしないでどうするの?」という地元の方の言葉が心に響いた。

その言葉通り、地域の働きかけで遠野市役所、岩手県、また県内企業がホップ和紙を様々な形で採用する ”産官民” の後押しも進んでいきます。

 

私たちが訪れた日は休日にも関わらず、高校の生徒さんと先生、ホップ農家の皆さん、「ホップ和紙を育てる会」の皆さん、遠野市役所の方など30名近い方々に歓迎を受け、議論の場面は熱を帯びていたことを鮮明に覚えています。

そして、その訪問に同行して下さったのは、このブログに幾度も登場して頂いている和紙職人 手漉き和紙工房「潮紙」の塚原英男さん。

当時、手探りそのものだった和紙漉きの技法について、技術指導を行って頂き、その後、公私ともに地域の皆さんと交流されていた。

今、遠野郷八幡宮の御朱印となって人々が手にするホップ和紙。

その道のりの一つに塚原さんのお力添えがあったことを、ここに残したい。

 

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