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現地視察会 【その3】「産総研 福島再生可能エネルギー研究所」風力・太陽光発電
2021/03/28
現地視察会 「産総研 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)」の続き。
今回は地中熱利用研究会の企画であるため、メインは”地中熱”でしたが、FREAでは他にもまだまだ再生可能エネルギーに関する先端的な研究が進められています。
次は少数の3グループに分かれたまま屋外に出て各実証試験場などをご案内いただくことに。
風力発電は古くからある再生可能エネルギー。
FREAの敷地内にも遠くから認めることができる試験研究用風車(駒井ハルテック製)が稼働中。
風車の直径は33m、ハブ高さ41.5m
ちなみに下の写真(アイキャッチ画像にも使用)はFREAの研究本館の正面エントランスに描かれた実寸大の風車の翼(ブレード)です。
あらためて見ると大きい!!
FREAの風車は設計段階から企業と共同研究を行い日本の四季のはっきりした気候や細かく連続している山脈など複雑な地形が起因となる高乱流などの厳しい条件に耐えるように設計されているそう。
定格出力は300kWとのことで・・・マイクロ風車(1kW未満)、小型風車(1kW~50kW未満)、中型風車(50kW~1000kW未満)という区分からするとFREAの風車は中型ですね。
大型風車は1000kW以上で高原や山頂の風車や海の中に建つ洋上風力など大規模発電施設クラスで使われているもの。
風力発電における課題に一つは発電効率の向上。
FREAの風車は”上手に風を読んで効率よく風車を回す”技術が詰め込まれています。
この風車は翼のすぐ後ろにある機器からレーザー光が前方に向けて飛ばされていて
それは風が届く前に翼の角度、風車の方向を調整するため!
レーザー光が空気中の水滴に反射され往復するまでの時間や波長により、風向きと風速を計測しているそう。(この装置はLIDARといいます)
つまりのこの風車はより良い風を捉えるために翼のついた頭の部分が360度回転できるようになっています。
実際にこの日は冷たい風が吹き荒れた日で風車を見ているとどんどん翼の方向が変わっていきました。
また、風況に合わせるだけではなくて、翼にプラズマ電極をつけることで翼から空気がはがれにくい状況を作っているそう・・・
海に囲まれた日本において海上では安定した風力が期待できるため、昨今、開発が進む洋上風力発電事業では、LIDARの技術を取り入れて、日本初となるリモートで風力計測を行う実証試験場もできるなど普及促進に向けて始動しています。
さて、私たちの生活で一番身近に感じる再生可能エネルギーは太陽光発電でしょうか。
ここでは各メーカーの太陽電池モジュール(通称:ソーラーパネル)を屋外で雨や雪、風などの気象条件にさらす”ばく露”などの劣化試験を日々行っているそうです。
そこから得た結果で劣化の原因となる電極や配線材などの改善を行い新しい構造の太陽電池モジュールを作製。
平行して高いエネルギー変換効率を実現するために異種の太陽電池を重ねることで幅広い波長の太陽光を捉える技術開発も行っています。
FREAでは太陽電池の耐性などの安全・信頼性の向上と新しい製造技術の導入による製造工程の削減(低コスト化)の両立、発電への高い変換効率化、これまで捨てられていた太陽熱の回収など。。。新しい概念の太陽光発電システムの開発を進めているとのこと。
風力発電と太陽光発電を持続可能な電力インフラとして確立するためには、技術とシステムの向上はまさに両輪なんですね。